約 3,643,367 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1093.html
「ゆっくりの中では、どれが一番好きか?」 そう言い出したのは、友人A。 ゆっくりれみりゃが一番と言い出したのは、友人Bだった。 俺は、どのゆっくりも嫌いなので、どうでも良いと答えた。 「ゆっくりれみりゃ~? 可愛くねぇだろあんなの」 「いや、よーく見たら案外良いんだってw」 楽しそうに話し合う二人。 どっちでも良いと思う俺は、黙ってその様子を眺めていた。 1時間後……議論は過熱し、とうとうBがその辺にいたゆっくりれみりゃを捕獲してきた。 「う~う~♪ たべちゃうぞ~♪」 「良く見てみろよ、ほら、この『う~う~』言う時の仕草とか、可愛いだろ?」 「どこがだよ……お前、ゆっくりゃ食い過ぎて頭もそういうレベルになってきたんじゃねーの?」 「……いや、他のゆっくりと比べて可愛いっつってんだよ。別にれみりゃが一番って話じゃない」 議論は続く。 その後もこの部分が可愛い、服がババ臭いと部分ごとのマイナス・プラス点を挙げていき、更に1時間が経過した。 「だから、れみりゃが一番可愛いつってんだろうが! れみりゃだけは他のゆっくりとは別だ!」 「何言ってやがる、アイツはれみりゃじゃなくてゆっくりゃだろうが! れみりゃってのはおぜうさまの事だけを言うんだよ! そんな豚とおぜうさまは似ても似つかないだろうが!」 「うー…………こわいこわい、たすけてー……う”っ!」 白熱しきっている2人が恐ろしいのだろう、とことこと俺の方にやってくるゆっくりれみりゃ。 俺としては、ゆっくりれみりゃがどうなっても良いので、ABの方に蹴り戻した。 ――どうでも良いと思うんだけどなぁ。 ため息が出た。 「ここは良いんだよこのボケ!」 「うっせカス、そんなん良い訳ねーだろうが!」 「う”がっ、いだいいだい、さくやー!」 口調が荒くなってきた2人。 同時に力も入ってきているのだろう、ゆっくりれみりゃに指が刺さったりしている。 「んだとゴラァ! やるか!」 「やらいでか!」 「う”う”う”ぁぁぁぁぁぁがががぁぁぁぁぁ!!!」 ついには、大岡裁きの本当の親がどちらかってアレの様な状態になった。 AもBも全力で引っ張り合っているのだろう、ブチブチと音を立ててゆっくりれみりゃが半分になった。 「だから! お前の言ってるのは間違ってるんだって!!!」 「いーや、お前だね! ぷっでぃんとか言ってるのを見ると反吐が出るだろうが!」 「さくぶっ、うあー! だずぶぐっげ…………だずげでー」 「……!!!」 「…………!!!」 「……うー、あ……ごふっ」 にらみ合うアホ2人を眺めて、ため息が出た。 あ、半分にちぎれたゆっくりで殴り合ってる。 「どうでも良いけどさ、お前ら」 「「なんだよ」」 ゆっくりれみりゃの肉汁でテラテラと輝いた顔が二つ、同時にこちらを向いた。 同時に振り向く所を見ると、実は仲良しなのかもしれない。 またため息が出た。 「……そいつ、もう死んでる」 「「えっ!?」」 ずたずたになったゆっくりれみりゃをマジマジと眺める。 とっくの昔に死んでいた「それ」は、腕やら足やら、色々な部分の足りないぬいぐるみの様になっていた。 もはやぼろきれとしか言いようのないそれを投げ捨て、顔を見合わせる2人。 「「どうでも良いな! ゆっくりなんか!」」 笑顔になった2人は、仲良さげに肉塊を掃除し始めた。 今までのケンカは何だったんだ……。 ――まぁ、ゆっくりだしどうでも良いや。 アホ2人は放っておくとして、ようやく落ち着けそうだ。 「そういや、お前はどれが一番嫌いなんだ?」 「え? ……うーん……」 「……じゃあな」 またケンカが始まりそうだ。 被害を受けない様に、別のところに移動する事にした。 皆で仲良く、ゆっくり虐待していってね!!!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/313.html
「ここはまりさのおうちだよ!ゆっくりでていってね!!」 ある森の中、館と家の中間くらいの大きさの煙突がある家の前のことであった。 帽子をかぶったゆっくりが叫んでいる。 この個体はゆっくりまりさと呼ばれる。天邪鬼で意地っ張りな個体が多い種族だ。 ゆっくりまりさはいたずらを好む。好奇心が旺盛なためか、他者にかまってもらいたいのか、 いずれにしろよく悪さをしでかし、叱られることが多い。しかしこのまりさの行動はそれを踏まえてもありえないものであった。 他者の家に勝手に上がりこんでここが自分の家だと宣言している。 この家の主人であろうか、若い女性が苦笑いしている。 自分が留守にしていてしばらくぶりに帰ってきたらこの始末だったためである。 うっかり鍵を掛け忘れていたのを思い出す。長期間留守をするにしては間が抜けたものである。 そんな彼女はどうするべきかと悩んだしぐさをしている。 「ゆっくりしんでね!!」 あろうことがまりさは女性に向かって体当たりを仕掛けてきた。 しかし女性はひょいと身をそらしたため難なくよけられ、 まりさは逆にあっさりと捕まってしまい、押さえつけられることとなった。 女性は目の前のゆっくりは自らの力を把握できていないのだろうか。 そう思ってまりさをつねる。ひたすらつねる。女性はまりさが泣くまでつねるつもりであった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ゛ぐ・・・」 しかしまりさは耐えている。更に力を込める。それでも泣かない。目に涙を浮かべて必死に耐える。このままでは千切れてしまう。 しょうがないので女性はまりさを外に放り投げて家の中に入った。 「ゆっくりいれてね!ここはまりさのおうちだよ!!」 しかし女性は聞き入れない。このまま家の奥へと向かっている。まりさは焦りを感じていた。 このままあの人間があの子をみつけたらどうなってしまうのかと思い、口に石をくわえ、窓から家の中へと侵入してきた。 砕けたガラスによって細かい切り傷がいくつもできたが、それでもまりさは飛び跳ねて体当たりを続ける。 なかなか根性があるというか図々しさに毛が生えているというか、傷だらけなことをまるで感じさせない挙動だった。 横で攻撃してくるゆっくりまりさの攻撃に女性は内心あきれながら無視して家の中を捜索していた。 まりさの攻撃を全て軽くかわす。勢いあまって壁に激突しても次の瞬間には飛び掛ってくる。 女性は段々と違和感を感じていった。家の中に何か大事なものがあるのだろうか。 この剣幕はただごとではなかった。攻撃性が少なく、 あまりにも弱すぎため無害なものが多い ゆっくり種がここまで攻撃的となる原因はなんだろうと興味を持った。 そしてある部屋の前に来ると扉の前にまりさが立ちふさがった。 「おねがいだからでていってね!!ここだけでもまりさのおうちにして!!」 放り投げてどける。扉を開けると、一匹のゆっくりがいた。あの青白い顔はゆっくりぱちゅりーである。 体が弱く、野生を生きる能力があまりないため、いつもじっとしている個体である。 しかしぱちゅりー種であることを踏まえても、その顔色は病的なまでの白さを誇っていた。 「むきゅぅぅ・・・。」 今にも力尽きそうなその姿。必死なまりさ、これらの状況から判断して、このまりさはぱちゅりーを守ろうとしたらしい。 「ゆぅぅぅぅぅ!!!!」 まりさはぱちゅりーの前にかばうように唸っている。 女性はどうしたものかと思案して、ぱちゅりーを介抱することにした。ここまで弱っているとほうってはおけない。 放り出すには目の前の命はあまりにも儚げで、今にも消え入りそうだった。 事情を知った女性はまりさの方をじっと見つめ、優しく両手で抱える。 「ゆ!?」 すると全力で窓の外に放り投げた。まりさはぱちゅりーを守るために警戒していただけだったが、 人の家に居座られて体当たりされたので、ちょっと気に入らなかったからこれくらいはしてもいいと女性は思った。 「むきゅぅ・・・、おうちにすませてくれてありがと・・おねぇさん・・・」 しかし一向に良くはならない。いくら喘息もちで死にやすいとはいえ、これは少しおかしかった。 女性は怒りが収まり、ぱちゅりーにお願いされたこともあったのでまりさを家の中に入れてやった。 まりさの体にあるガラスでできた傷は浅かったが、女性は一応手当を受けさせようとした。 「ゆっくりはなしてね!おねぇさんとはゆっくりできないよ!」 しかしまりさはそれを拒み、ぎろりと睨み付ける。 まりさはずっとぱちゅりーのそばにいた。 まりさはとても心配に思っていた。唯一の友達であるぱちゅりーが調子が悪い。自らの手で餌を食べることができなくなり、 一向に動く気配がない。以前自分達の家であった木の空洞にぱちゅりーをひとりにしておくと、 蛇などの動物が来たときに食べられてしまう。そのため、丈夫で安全で誰も住んでいない人間の家を探し出し、 ぱちゅりーを引きずって連れてきたというわけである。そこで留守にしていた人が帰って来たというわけであった。 女性は、この二匹を追い出して次の日玄関先で死なれたら目覚めが悪いと思った。 結局、女性はまりさとぱちゅりーを家に居候させることにした。 それから人とゆっくりの奇妙な共同生活が始まった。 まりさはぱちゅりーと四六時中いっしょにいる。女性は信用されていなかった。そのため、餌をとりにいくこともしていなかった。 まりさが留守の間にぱちゅりーと女性の二人だけが残されることを警戒していたのだろう。 いくらなんでもこれでは本末転倒だ。女性がこのままでは二匹が飢え死にしてしまうと思って食べ物を与えると、 まりさはまず毒見をしてからぱちゅりーに咀嚼した食事を与えた。 消化しやすくするためであろう。 まりさは明らかに人間不信であった。もしかしたら以前人間にひどい目にあわされたのかもしれない。 だからといって女性は特になにをするでもなく、二匹に餌を与え続けた。 「ゆっ・・・」 あるとき家の前に傷ついたゆっくりありすがいた。すぐに生殖行為に及ぼうとすることから、 ゆっくり達の間では嫌われているものが多い個体だった。けれども女性はありすを家の中に招いた。 驚くことにこのありすはまりさやぱちゅりーを見ても生殖行為を行わなかった。 最初は驚いたまりさとぱちゅりーだったが、辛い状況が続いたため、警戒心が養われていたためだろうか、 目の前のありすが他者に害を与えるような存在ではないと気づいた。 二匹はありすを受け入れた。 「ありすはきらいじゃないよ!ゆっくりしていってね!!」 「むきゅぅ、よろしくね」 「きやすくはなしかけないでよ。いわれなくてもゆっくりしていくわ!」 そういいながらありすは二匹の手伝いをした。まりさと共にぱちゅりーの看病をしていた。このありすは意地っ張りであるらしいが、 面倒見はいいようだ。ありす種に性欲がなくなるとこんな性格だとは意外であった。 いつからだったかわからないが、三匹は常に一緒にいた。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「うっうー♪」 ある日女性はとんでもないものを連れてきた。攻撃的な種属のゆっくりふらんとゆっくりれみりゃだ。まりさたちは虐められると思い、 身を強張らせた。しかし 目の前の二匹は何かがおかしい。それもそのはず、ゆっくりふらんには羽が片方ついていなかった。 再生力が強いふらんだったが、 たぶん生まれつき羽がなかったら再生もできないだろう。ゆっくりふらんは飛ぶ性質を持つため、はねる動きは不得意なようで、 ずりずりとゆっくりともいえないほどの速さで這いずり回ることしかできていなかった。れみりゃは叫び続けるふらんのそばで飛んでいた。 こちらはしっかり羽がある。 しかし牙がなかった。 この二匹はたぶんほうっておいたら死ぬだろう。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 またある日女性はゆっくりれいむの家族を連れてきた。母れいむは行くあてがなく困っていたところらしい、 体中ぼろぼろで汚れていた。共に連れてきた子れいむ、赤ちゃんれいむも不安そうにきょろきょろと辺りを見回す。 そんな彼女達はまりさ達に受けいられた。家族が一気に増えた。 「わかるよーわかるよー」 「ちーんぽっ!」 「ケロ、ケロケロ!」 だんだんゆっくり達が増えてくる。いつしか家の中にはゆっくりたちがたくさん溢れていた。みょん、ちぇん、ふらん、れみりゃ、 ありす、ぱちゅりー、まりさ、そしてそのほかの様々な種類のゆっくりたち。 みんなこの家に来るとゆっくりしていた。 彼女達はけんかすることもあったが、そのたびに女性につねられ、叱られることで少しずつ仲良くなり、 いつしか家族の一員となっていった。 女性はあらゆるゆっくり達を家の中に招いた。ここで彼女達に狩りの仕方を教え、食べられるもの、農耕の仕方など、 様々な生きる術を教えていた。 それからまたしばらくたった。ゆっくり達がゆっくりさせてくれた女性への恩返しのため、皆一丸となって働いていた。 家の前には畑が広がり、ゆっくり達が道具を口で使って耕している。 このとき女性は驚いたが、ありすは農耕における用地の運用の仕方や、道具の効率的な使用法をあっという間に覚えていった。一度教えたことを更に発展させて考えることができる。 人間にも難しいことだった。女性はありすに家の中の本を与えて読ませた。女性が難しいからといって買ったまま積んでいた本をありすは次の日にはそらで言えた。 ありすは正直なところ女性よりも頭がよくなっていたかもしれない。ありすの知識は大いに役立った。 体力のあるものは狩りに出かけていた。 母れいむはきのこと山菜を取りに山を駆け回る。最も力があって重いものを持つためだ。途中で蛇や猪などの獣とかち合っても、護衛のみょんやけろちゃん、ちぇん、 ゆっくり達が追い払う。おいしい食べ物を待っている仲間がいるから、だから頑張れる。 そして、留守番をしているものは子守をしていた。 「ゆっくりしね!!!」 「ゆっくりするー!!」「わたしもー♪」「遊んで♪遊んで♪」「ふらんおねーちゃん♪」 「うー、うー♪」 なんとふらんがれいむの子供達にかこまれて遊ばれていた。ふらんは不機嫌だったが、 赤ちゃんれいむたちはお構いなしにふらんにつっかかる。そんな赤ちゃん霊夢にふらんは本気で威嚇しているが、 れいむ達は怪獣ごっこだと思っているようだ。動きの遅いふらんにつかまるほど赤ちゃんれいむはゆっくりしていなかった。 れみりゃはそばで無邪気に飛び回っている。 ふらんは終止不機嫌で、れいむ達に遊ばれた後見かねた女性になだめられていた。 「う゛ぅ゛・・・・・・・・・・・・・・・♪」 ふらんは甘えることにてれを感じているのか、女性と目を合わせなかった。 けれどもその横顔は頬がにやりと緩んでいた。 ある日昼ごろのことだった。女性がゆっくり達にいいことを思いついたと言って、ゆっくり達を庭に集めた。 彼女はときどき突拍子もないことをいいだす。 なにかな、どうしたの、ゆっくり達が皆庭に集まると、女性は背中に何かを隠してやってきた。 ふっふっふっと笑って、もったいぶっている。まるで悪役のような笑い方に、ゆっくり達は不安になった。 そこで女性はジャジャーン、といった擬音が聞こえそうになるぐらい、うれしそうに背中の物を目の前に 出した。それはギター。指でかき鳴らし、音楽を奏でる道具。 みんなで歌を歌おう。それが女性が考えたことだった。ゆっくり達はみんな今日のお仕事がまだ終わっていない と、ばつの悪そうな顔をしていたが、女性はあっけらかんとして、そんなこと気にしないでいいとでもいうように ギターを弾いていった。彼女はまりさに侵入されたとき、家に鍵をかけ忘れたことから考えられるように、 細かいことを気にしないというか、豪快というか、いい意味でも悪い意味でもいい加減というか、そんな人だった。 女性はみなを楽しませようと弾いた一曲。彼女の弾くギターはあまりいい腕ではなかったが、 その楽しそうな雰囲気によって、ゆっくり達はゆっくりせずに大はしゃぎしていた。 「ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー」 お母さんれいむは歌っている。音程は高く、以外に上手い。それにしてもこのれいむ、ノリノリである。 「おかーさんすごーい!」 「わたしもうたうー!」 「わたしもー!」 赤ちゃんれいむたちも一緒に歌う。 「へェーらろ・・・むりだわ、これ・・・」 ありすは完璧に歌えないと嫌なのか、早々と歌を止めた。 こういうところで変に意地っ張りである。 しかしそっぽを向きながら口をパクパクとさせ、次回に継げていた。次に歌うときのために必死に練習するであろう。 その顔は楽しそうだった。t 「うー、ゆっくりしね♪」 ふらんまでご機嫌だ。その周りには赤ちゃんれいむたちが集まっている。楽しいときには細かいことは気にしないものである。 姉のれみりゃは踊るように飛んでいる。 「ゆっゆー♪」 「あるーひー♪」 「ゆっくりー♪」「ヘロロォールノォーノオォー」「うっうー♪」「ちんちーん♪」「けろけろッ♪」 その日はゆっくり達の大合唱が森中に響き渡った。誰もがゆっくり平和にすごしていた。 いつしか女性はゆっくり達の母親のようなものになった。 「ぱちゅりー、たのしい?」 まりさはぱちゅりーに尋ねる。 もはや自ら動くことができなくなったぱちゅりー。そんなぱちゅりーは女性に抱えられて、みんなの姿がよく見える特等席に座らせてもらった。 「むきゅ♪」 ぱちゅりーはとても嬉しそうだった。まりさはぱちゅりーのこれほどまでに嬉しそうな顔をみるのは久しぶりだった。 そして、それが最期だった。 空気が澄んだ朝だった。ついにぱちゅりーが死んだ。最後には話すことさえできなくなり、 発作的に餡子を吐き出すようになっていた。ゆっくり達皆が心配そうに見つめる中、 まりさとありすはぱちゅりーのほほに自らのほほを当てて、その最後を看取った。 「ぱちゅりー、だいすきだよ・・・」 「ゆっくりしてね、やすらかにねむりなさい・・・」 ぱちゅりーは力なく微笑むと、 「むきゅ」 と返事をするかのように一言発し、事切れた。 ゆっくり達はこの家に来てはじめて家族を失う悲しみに涙した。 そして、女性はぱちゅりーを弔うことにした。火葬にしようかと思ったらまりさが強く反対した。 「あついのはよくないよ!もうぱちゅりーにいたいおもいをしてほしくないよ!!」 そんなまりさの姿を見て、ありすは何かを感じ取り、まりさをかばうように意見する。 「おねがい!ぱちゅりーがやかれるところをみたくないの!!」 結局、ぱちゅりーは土葬することにした。虫に食われないように厳重に箱につめて、家のそばに石を積み上げて墓を作った。 家のなかのゆっくり達はみな悲しんだ。別れはとても辛い。 それを見ていた女性はこうやってお墓を作ってあげると、いい子は天国にいけると女性はゆっくり達に教えた。 「てんごくってなに?」 「たべもの?おいしい?」 「ゆっくりできる?」 女性は教えた。天国とはいつまでもゆっくりできるところだと。ぱちゅりーはいい子だからそこに行けた、死んだ後には会えるから心配しなくていいよと言うと、 ゆっくり達は嬉しそうにしていた。 ちなみにわるい子は地獄という、ゆっくりできないところに行かされると釘をさしてしつけることもした。 まりさはぱちゅりーの帽子を形見としてとっておくことにした。 その日の夜、まりさは女性に向かって今までの行いをあやまった。 自分の事をずっと気にかけてくれていたぱちゅりー。 まりさが夜寂しい思いをしたとき、いつも体を寄せて寝てくれたぱちゅりー。 ぱちゅりーはまりさの全てだった。 ぱちゅりーが死んだことはとても悲しい。だけど彼女が幸せそうに死ぬことができたのが、うれしかった。 まりさだけでは、ぱちゅりーをあそこまでゆっくりさせることはできなかっただろう。 「おねぇざん・・・いまま゛゛でまりざはわるいごでごべんなざい・・・。おねぇざんのおうち゛をがっでにづがっ・・てて・・・、 まりざもうででぃぐね、ぱぢゅりーのこどありがどう、ありずをよろじぐね・・・」 まりさは初めて女性にあやまった。ぱちゅりーと共に生きるためとはいえ勝手にひとの家に上がりこんだこと、 それなのに追い返そうと体当たりをしたこと、それなのにぱちゅりーを弔ってくれたことなど、感謝をしてもしきれなかった。 女性は何も言わずまりさを手招きした。まりさはぱちゅりーがいなくなったから、外に放り投げられるのではないかと思った。 自分から出て行くつもりであったが、もし恩人にそのようなことをされたらと思うと怖くて仕方がなかった。 まりさは恐る恐るゆっくりと女性に近づいた。 ぎゅぅぅと、音が鳴る。つねられるときのように、しかしまりさはつねられていない。 女性は何も言わずにただまりさを抱きしめた。まりさは女性のあたたかさを感じた。 そして女性は膝の上に載せると子守唄を歌った。 ぽんぽんと優しく頭を叩きながら。 まるで人間の子供のおなかを叩いて母が歌うように。 その歌声は正直あまり褒められたものではなかったが、 まりさは耳を澄ませ、涙で真っ赤にした目を更に赤くしないように閉じて聞き入れた それはまぎれもなく母が娘をあやす姿そのものであった。 もうでていかなくていい。あなたもここのうちのかぞくなのだから。 そのような歌詞であった。 いつしかまりさの閉じた目から涙がつぅっと落ちていた。 まりさはこの日本当の家族になった。 「おねぇさん!これあげるね!おいしいやさいだよ!!」 ぱちゅりーが死んだ日からまりさは女性に対する不信感を完全に失っていた。 今では誰よりも女性の近くに擦り寄って、誰よりも働いている。 食事も女性からうけとるとき、 毒見をするようなしぐさをしなくなっていた。逆に畑で取れた野菜を女性にプレゼントするようになった。まりさは女性への感謝の気持ちでいっぱいだった ゆっくり達を受け入れてくれたこと、みんなが仲良くできるようにしてくれたこと、ぱちゅりーを弔ってくれたこと、 まりさは女性を母親のように感じていた。 それでも憎まれ口をたたいて女性につねられるのは相変わらずだった。 女性がまりさからもらった野菜を調理して、並んでご飯を食べる。まりさはとてもうれしそうだ。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」 女性はそんなまりさをみて微笑む。まりさもつられてえへへと笑う。 そんなまりさでも女性の体の変化には気がつかなかった。 女性がまりさに気づかれないようにしていたためである。 それでも症状はゆっくり進行していく。 ゆっくり達が目を覚ます。寝ぼけた女性を数匹がかりで起こす。今まで誰よりも早く起きたのに。 みんなで協力して食事をつくる。女の人とは思えないくらい食べたのに。 太陽の下で働く。休む回数が増えた 眠る。眠ったらいくら呼んでも起きない。かとおもえば、一日中起きている日もあった。 こうなってくると、ゆっくり達も気がつく。女性の体が悪いんだと。 だけど女性は人間の医者のところには行かなかった。 軽い風邪だから大丈夫だと。 幸せな日々にもいつしか終わりがやってくる。それはあまりにも突然の事だった。ある日いきなり女性が倒れた。 顔を見てみると赤い斑点が出て、 常に苦しそうな表情を浮かべていた。 1日、2日、3日、1週間、女性はどんどん体が悪くなっていった。 それでも彼女は医者に見せなかった。 まりさ達はかわるがわる看病に努めた。ごはんを運ぶもの、身体を井戸水で冷やして氷嚢代わりになるもの、 女性が行っていた家の管理に務めるものなど、皆女性のために働いた。 それでも病気の進行は止められなかった。 心配するまりさをからかうようにつねる手の力がとても弱くなっていた。 はじめてあったときは泣きそうになるくらい痛かったのに。 女性はもうすぐ死ぬ。ゆっくりたちが女性のベッドの周りに群がっていた、 みな不安そうな顔をしている。 まりさとありすはかつてぱちゅりーに対して行ったように自らのほほを女性に当てていた。 「いままでありがとうね・・・。おかあさん・・・」 ありすが泣きながら女性に話しかける。女性は心配するなと笑顔でうなづいた。 このとき女性は気がついた。まりさの底の一部分が感触が固いと、それはまるでパンを一部分だけ焼いた後のようであった。 以前人間に虐待されたのだろう。火傷によって焦げてしまったに違いない。 女性はまりさがこの先みんなと一緒にゆっくりできることを願った。 女性はまりさに対して二つの望みをつぶやいた。最後の言葉だった。 自分が死んだらここをみんなのおうちにしてね。 ゆっくり達を守ってね 、と そして女性はゆっくり息を引き取った。 まりさがみんなを導いて、みんなが天国にいけるようなゆっくりとして生きていけることを願って。 遺体はゆっくり達の手でぱちゅりーの隣に埋められた。 「おねぇさん、てんごくでもゆっくりしていってね・・・」 それからさらに1ヵ月後、ゆっくり達は女性のいいつけを守って生活していた。女性がいなくなってもゆっくり達は今までどおり、 むしろそれ以上に頑張って生きていった。まりさとありすがリーダーとなり、ゆっくりたちをまとめていた。 女性が生前そうだったように、行き場のないゆっくり達を受け入れ、いつしか家はゆっくり達の楽園となっていた。 そんなある日の夜、人間が尋ねてきた。壮年の男が数人いた。ゆっくり達は突然の人間に驚いた。 しかし以前女性に対してとてもやさしくしてもらっていたことを覚えていたゆっくり達。みな口々に歓迎している。 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 まりさは以前人間に虐待されたことを忘れてはいなかったが、女性に心を開いたことで以前より人間の事を嫌ってはいなかった。 そして女性の最後の言葉を思い出し、その願いをかなえることにした。 「ここはみんなのおうちだよ!! ゆっくりしていってね!!!」 うん、ありがとう、ゆっくりさせてもらうね。 男はそう答えた。きれいな瞳をした男であった。 男達はこの場にいるゆっくり達を見て、何か話し込んでいる。牙と片羽のないふらん、牙のないれみりゃ、 その他様々なゆっくりたちをじっと見た。 特に驚いていたのは、ありすをみたときであった。男の一人がありすに振動を与えた。 「なにしてんのよ、えっち!!」 ありすは不機嫌そうな顔をして去っていった。男は信じられない顔をした。発情しないありすがいるなんてと。 ところでここに女の人は住んでいなかったかな? そう男のひとりがゆっくりに質問した。 なんでも男達は女性の知り合いらしい。ゆっくり達は女性の事を話した。皆バラバラに話すので聞き取るのに一苦労であったが 、男達は彼女がどれだけゆっくり達愛されていたのか理解した。そして彼女が病気によって死んだことを伝えると、男達は悲しそうな顔をした。 しばらくうなだれ、考え込んでいた後、男の一人が意を決したようにまりさに話しかけた。 「おねぇさんのお墓はどこにあるかな。お墓参りをしたいんだ。」 まりさは女性のお墓に案内した。 石を積み上げられたあのお墓に。 ここでおねぇさんが天国でもゆっくりできるようにいっしょにお祈りをしようと思っていた。 人間も自分達と変わらないと、 そう信じていた。 数刻後、男は女性の墓を掘り返していた。隣にあるぱちゅりーの墓も同時に掘られている。 まりさは何が起きたのか理解できなかった。なぜこんなことをしているのだろう。 死んでゆっくりしている人をなんで無理やり起こすのだろう。 おねぇさんもぱちゅりーも天国でゆっくりしているのに、ゆっくりさせてあげないなんて・・・。まりさとありすは男に飛び掛った。 「やめて!!どうじてそんなことをするの!!」 「やめてぇぇぇ!!」 男のひとりがまりさとありすを押さえつけながら、段々と墓が暴かれてくる。 ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、 悪臭がただよう。まりさは口から餡子を吐きそうになった。 まりさの頭にあったのは、生きていた頃のおねぇさんの美しい姿とぱちゅりーの青白い顔であった。 しかし、目の前にいるものは、 にてもにつかない ぱちゅりーってこんなくろかったっけ? どろだんご・・・ あのシろいむしってナに たくさんいるよ となりのオおきいのは ひと? もの? くろい あのおなkaカらでるデろでろってなに・・・ あnこ? 「あ・・・あ・・・あぐ・・ぐぺぇぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇ」 「ひどい・・・、なんで・・・」 あまりの衝撃にまりさはおねぇさんがどのような顔をしていたのか思い出せなくなった。 全く面影がなければそれでよかった。しかし着ている物、髪、顔の無事な部分と ぱちゅりーのそばに埋めた影響か、ところどころ虫に食われた部分がまりさの思い出の中のおねぇさんと混ざり合ってしまった。 おねぇさんといえば、目の前のくろくて、ぐちゃぐちゃで、べちゃべちゃなものしかわからなくなっていた。 男達は辛そうな顔をしながら女性を引き上げ、顔の確認をした。 男達の数人が泣いていた。リーダーらしききれいな瞳をした男が彼らをなだめた。 そしてしばらく話し合った後、男達は何かを決意した顔をした。男はまりさとありすを家の中に入れて、外から閉じ込めることにした。 男達の目的はこうであった。 ゆっくりから他の生物に媒介するウィルス、 感染方法はゆっくりを食べることと、ゆっくりを食べて感染した生物からの血液、経口感染であった。 そのウィルスはゆっくりと時間をかけて体内に潜伏し、発症の際は死亡率が40%を越えていた。 このウィルスにかかったゆっくりは先天的な奇型・変化をもって生まれる。 病弱さに拍車がかかったぱちゅりー、羽のないふらん、発情しないありすなどがそれにあたる。 男達はここに住んでいた女性の友人と加工場の職員で構成されていた。 彼女がゆっくりを襲っている犬からゆっくりをかばって噛まれ、このウィルスに感染していた可能性があること、 そのために森のはずれにある家で最後を迎えようとしようと失踪したこと、ついに家の位置を探し当てたこと、 最近わかったことだがもし感染していたら死体を焼却しておかないと動物によって死肉を漁られ感染が広がること、 彼女のような犠牲者を増やさないために感染源の奇型・変種ゆっくり達を炎によって滅菌処分する目的でこの場を訪れていた。 加工場の人間達にとってゆっくりは食料。それ以上でもそれ以下でもない。里の人に美味しく餡子を食べてもらいたい。 それだけを考えて仕事に励んでいる。しかし目の前のゆっくりが他の生き物に害を及ぼすと知ったとき、人を守るために自らの仕事を失うことを躊躇しない。そこには私情は一切なかった。 対して、女性の知り合いたちは私情によって動いている。彼女がまだ生きていた頃、世話になった者達の一部である。 彼らは彼女のような犠牲者を出さないようにゆっくり達を駆逐しようとしていた。それが彼女の意思とはかけ離れたものと知りながら。そんな彼らがやすやすと目の前の仇を逃がすはずがなかった。 この二つの思想を持つ包囲網からは、決して逃れられないだろう。 まりさは家の窓から女性とぱちゅりーが焼却されるのを見ていた。 まりさの母がわりであるおねぇさんとぱちゅりーはゆっくり燃えていった。熱いのは苦しいと思ってまりさは火葬をしなかった。 その結果があのどろどろの物体だった。 静かに、ゆっくりと炎は一人と一匹を包んでいく。その空気は以前おねぇさんとぱちゅりーが死んだときのお葬式のようであった。 違うのは、おねぇさんとぱちゅりーが穏やかな顔をしていなかったこと。 しばらく後、一人と一匹の遺体は真っ黒に焼き尽くされていた。 ぎろりと、男達がゆっくりが住む家のほうを向く。 まりさはきれいな目をしていた男と目が合った。男の目はもう曇っていた。疲れたような顔をして、生気を感じさせない。 それでもふらふらと家の方に近づいてくる。幽鬼のように。そしてそれにつられて他の男達もついてくる。 手に持っているのはたいまつ。 百鬼夜行そのものだった。 そして男達は、まりさたちの住む家目掛けてたいまつを放り投げて火をつけた。本格的に滅菌作戦を開始した。 「みんな、にげてぇぇぇぇぇぇぇ!!」 まりさが叫んだ。まりさは火の怖さを知っている。昔人間に捕まったとき、仲間と一緒に網の上で火にあぶられたことがある。 熱さから逃げるためぴょんぴょんと飛び跳ねる。しかし跳ねてもはねても火に接している底が熱くなる。 ほんの少し火に触っただけなのに体がこんがりと焼ける。それを見ている人間達は笑っていた。 誰が速く死ぬか当てる遊びをしていた。 まりさは運よく最後まで生き残り、死なずにすんだ。仲間達は焦げ付き、食べられもせずに放置されていた。 あの時と違うのは、人間達が遊びではなく、殺すことを目的として火を使っていることであった。 皆逃げる。しかしどこに逃げればいいかわからない。 部屋の中をひたすらうろうろとするばかり。パニックを起こしたゆっくり達は、部屋の中から出ることさえ考え付かなかった。 「ゆ゛ぎぃ゛ぃ゛ぃ!」「ゆ゛ぐえぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ !!」 放り投げられた火の近くにいた数匹のゆっくりが悲鳴を上げる。体に直接火を浴びたため、髪の毛から引火して体中が火達磨になっていた。 それはある怪異を髣髴とさせた。 鬼火と呼ばれる、宙を舞い、駆けずり回る火の玉。 違うことは、それが地を這うことであった。 「ゆ゛っぎゅり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」 「ゆ゛っぐぃざぜでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ!」 家の外に火達磨のゆっくり達が飛び出した。 もはや飛び跳ねることもできずにごろごろと地面を転がっている。 けれども火はゆっくり達の体を蹂躙するのをやめなかった。ごろり、ごろりと地面に向かって体をこする。けれども 全く効果がない。ひらすらに転がる。転がって転がって、何かにぶつかって止まる。それは男達の足であった。 ゆっくりにぶつけられた男は火にあおられ、熱さのあまりのけぞる。それをかばうように隣の男が火の玉を踏み 消す。その中にある命ごと 「ごぼっ!!」 「「ゆ゛っ!!!」 あっけない。あまりにもあっけない最期だった。これまで苦楽を共にしてきた仲間達。 同じ食事をし、共に笑い、泣き、一つ屋根の下に眠ってきた仲間達。ほんの数時間前までは隣で笑っていた。 ほんの数時間前までは。 今までこの家で体験した死とは違い、何の思いやりも見られない死は、ゆっくり達の心をぐちゃぐちゃに掻き回す。 仲間の悲鳴が現実から心を遠ざけ、炎の熱さが現実に心を引き戻す。ゆっくり達はパニックを起こした。 これから自分達にどのような運命が待ち受けているかをぼんやりと感じながら。 そう、悲劇はまだ終わっていない。これはほんの前奏にすぎないのだから。 「みんなはやくにげて!!ゆっくりしちゃだめだよ!!」 まりさはみんなを逃がすようにした。。 外には逃げられない。まりさは家の中の上の方へ、上の方へと 逃がすようにした。火は上に昇るが、地上は囲まれてしまったため、これ以外に逃げ道がないためである。 まりさは率先して皆を助けようと足掻く。懸命に足掻く。 おねぇさんに皆の事を頼まれたから・・・ 「ありすー、どこー!!でてきて!!にげるよ!!」 アリスの姿が見えない。はぐれてしまったのだろうか・・・。そういえば家の中に放り投げられたときから見ていない気がする。 ありすを助けに行くことも考えたが、まりさは目の前のゆっくり達を見て皆を逃がすことを選んだ。ありすならきっと大丈夫、 ありすが死ぬとは思えない。すぐにあの憎まれ口をたたいてくれるはずだ。 ゆっくり達は2階に上がり、1階より炎の進みが遅いことに皆少しほっとした。 しかしまりさは気を緩めない。皆に向き合って、大声で呼びかける まりさは火があっというまに広がることを知っていたので、皆を3階に誘導した。 「こっちだよ!うえにあがって!!うえにあがればゆっくりできるよ!!」 先陣を切り、階段の上に立って、ゆっくり達が階段を上ることを待っていた。 上が安全という根拠はないが、こうでもしないと皆パニックを起こす。 はやくこっちにくるように、恐怖に震えたゆっくりたちを励ます。 そのとき、 ビュッ!! ゴォォォォォォ!! いきなり外からたいまつが投げられた。窓ガラスを破り、階段を炎が包み込んでいく。ゆっくり達は散り散りになってしまった。 3階部分にはまりさしかいない。炎によって分断されてしまった。潜り抜けることは不可能だ。まりさにとっては不幸なことに、 皆を誘導するために急いで階段の前に行ったため、まりさのみ助かっていた。 まりさは階段の上から一部始終を見届けることになった。 「「「おがーざーん!だずげでぇぇぇ!!」」」 炎による恐怖で動けなくなった赤ちゃんれいむ達。 炎。それは母ゆっくりれいむの命への祝福をする優しいあたたかさとは違う、命を否定する激しい熱。 ぷるぷると振るえ、目の前の母をひたすら呼び続ける。 「わだじのごども”おぉ゛ぉ゛ぉ!!!」 母れいむは赤ちゃんれいむたちを庇おうと自らの口の中に入れた。 こうしておけばみんな一緒に逃げられる。そう思っての行動だった。 しかし誤算があった。口内に大量の子供達を含んだ母れいむはゆっくりとしか動けない。 はやく逃げなきゃこどもたちが死んでしまう、 はやく逃げなければ ぐらり そんな母れいむの思いとは裏腹に、母れいむの上に燃えた柱が倒れてきた。 大きい柱が ゆっくり、 ゆっくりと 「ん゛ん゛゛ん゛ん゛んん~~~~」 しかし子供達をくわえて動きの鈍った母れいむは更にゆっくりしていた。 ずりずりと這いずる様にしか動けない。 その目は落ちてくる柱をうつしていた。逃げようとすれば逃げ切れるようにも見えた。 じたばたともがき、目の前を見て、避けきれるまであと少し、あと少しのところまできた。 しかし、結局無理だった。あと1メートルほど進めば避けられたのに、それもかなわず柱が母れいむの頭を捕らえた。 ぐしゃり 母れいむは横に3倍ほど広がってしまった。悲鳴を上げる暇さえなかった。餡子が飛び散り、ぴくぴくと痙攣している。 口の中の子供達はつぶれて混ざり合っているだろう。 もう二度と母れいむの美しい歌声を聞くことはできない。 炎で分断された更に別の場所、移動の遅いゆっくりふらんは自分を助けようと近づいてくる子れいむたちとれみりゃを追い払っていた。 「ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!ゆっくりしねぇ!!!」 鬼気迫る形相でこっちに来るなとひたすら吼え続ける。しかしそれでもゆっくり達はふらんにむかっていく。 ふらんをくわえると、少しでも火のない方向目掛けて引きずっていた。 「ふらんちゃん、ゆっくりしちゃだめだよ!」 「いっしょににげよ!」 「あきらめちゃだめだよ!」 「う゛~、ごぁい!こぁ゛い!いっしょににげる!おいで!!」 しかし炎は容赦なくふらんとゆっくり達を包み込む。 まるで焼き栗。炎の中で小さな塊がぱちぱちとはじけていく。それとも焼き芋とでも言おうか、餡子が焼けるいいにおいがあたりに広がっていた。 炎に慈悲はない。ただ全て燃やすだけ。そこには善意も悪意もない。 再生力の高いふらんとれみりゃはすぐには死なない。目の前でれいむ達が焼き死ぬところをゆっくりと見ることとなった。 最初はあまり気に入らなかった。自分がおもちゃにされているようでイヤだった。食べてやろうと思ったことも一回や二回じゃない。 だけど、だんだん一緒にいると楽しくなった。からかわれるのも悪くなかった。自分がからかわれるのに慣れてしまっただけなのか、 それともなにか別の理由があるのかわからない。ただ、ふらんはいつしかみんなの笑っている顔が大好きだった。 「あぢゅいよ゛おぉおぉ゛ぉ゛ぉぉ」 「ゆっぐりじでてよぉ・・・」 「ふら゛んおね゛ーじゃんっっっ!だずげでぇぇぇ」 そんな仲間達が、自分を助けようとしたから、ふらんを助けようとしたから、苦しそうな顔をして消えて行く。 真っ黒になりながら。そしてれいむ達が焼き死ぬと、今度はれみりやとふらんがゆっくりと死ぬ番だった。 「う゛・・・・、」 ふらんの目の前でれみりゃが焼けていた。普段の無邪気な表情とはかけ離れた苦悶の表情だ。 いつも自分の近くにいた姉。いつもへらへらとして弱そうで、ずっと姉扱いはしていなかった。 だけど、そんな自分を、ふらんをれみりゃは助けようとしてくれた。 れみりゃは紛れもなく自分の、ふらんの姉だった。 「ゆっくりしね・・・ゆっ・・・」 ふらんは何もできない自分がうらめしかった。 結局、最期まで姉扱いをしてあげることはできなかった。 生まれて初めてふらんは泣いたが、涙は蒸発してしまい、誰にも見られることはなかった。 炎が辺りを包み込み始めていた。 ゆっくりできないところが地獄なら、ここはまさにそれであった。地獄というコンサートホールでゆっくりの悲鳴の大合唱が奏でられている。 音の大きさはバラバラ、音程はバラバラ、リズムもバラバラ、共通しているのは苦痛を表現した歌だということ一点のみであった。 まりさはこのときほど自分手がないことをうらめしくおもったことはなかった。 耳がふさげないため、ゆっくり達の悲鳴があますことなく聞こえてくる。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛ーー!!」「ゆ゛っぐり゛でぎる゛どお゛も゛っだどに゛い゛い゛い゛い゛い゛いい゛い゛い゛!!」 「ぐぉぼ!!」「ゆるじでぇ!! あづいよぅゆうぎゃあぁあ゛!!!」 「どおじでぇえ゛ぇぇっごんなごどずるのぉぉ゛お!!!」「ゆ゙ゎああああああああ」 「おねぇざんだずげでぇぇぇ」「ぶぎい゛い゛い゛い゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「わからないよ!!!わからないよおおおおお!!!」「ゆっぐりだずげでええええ!!!」 「 ゆ゛っぐり、じだい、じだいよおおおお!」「びゅっぐりゃぃぃぃ!!」「おぎゃぁぁぁざぁあぁぁん!!」 「いや!ゆっくりしてよう!や・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」「がぼッ、ガボボッ、い゛や゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 「し、じじにたくないよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」「なんで!なんで!!なんでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ!?」「んほおおおおおおおおおおおおお!」「う…うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 「ぢんぼぼぼぉおぉおおっ!!!」「う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!う゛っ!」 あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ゆーーー?!い゛や゛だぁぁぁぁぁぁ!?あづいいぃいぃぃいl?!」 「ひ゛ぃぃい゛い゛ぃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁっ!」「ゆっぐりじだがっだよー!!!!!」 「……ゲロ゛ォォオゲロオォオオォっ!」 おがあざんどご!? み゛ん゛な゛どごぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!? みぇな゛いぃぃ!!!」 「 ゆ゛ゆ゛っ゛っ゛ーーーーーーーーー!!!!」「あ゛づ!! け゛む゛い゛よ゛お゛ォ!!!」 「おうち゛でみ゛ん゛な゛どゆっぐり゛じでだだげな゛のに゛い゛い゛い゛い゛!!!!!」 そして大合唱が終わりを告げた。まるで焼ききれたカセットテープのようにぷつりと音が消える。 もう誰も生き残っていないだろう。 みんなと分断されてからあっという間の出来事だった。 だけど、みんながどう死んだか、その様子は全く同時の出来事だったが、全てまりさの目に映り、記憶に刻まれた。 目をそらせなかった。よって、一匹一匹、全てのゆっくりの死に様が余すことなく焼きついた。 結局おねぇさんとの約束を破ることになってしまったことになって、申し訳なかった。 そしてそれ以上にみんな大事な仲間だったのに、大好きだったのに守れなかったことを後悔した。 まりさは死を目の前にして、それでも火から逃げることを選んだ。 火は・・・・・・・・・・どうしても怖かった。 3階にたどり着いた。目の前にありすがいた。 いなくなっていたかと思ったありす。まりさが気がつかないうちに死んでしまったのかと思ってしまった。それは一番嫌だった。 とにかく無事でいてよかった。生きていてくれてうれしい。 「ありす!いままでどこにいってたの!!しんぱいしたんだよ!!」 「わるかったわね・・・、みんながにげるためのどうぐをつくっていたのよ。それよりみんなは・・・」 「しんじゃったよ・・・。れいむたちもふらんもれみりゃもみょんもちぇんもみんなみんな!!ひでやかれちゃったよ・・・」 ありすはまりさから目をそらした。生き残っているのはまりさとありすだけ、 ありすは一瞬呻いて、暗い顔をしたが、急がないとまりさたちも危ない、 ありすはまりさをある部屋に誘導した。煙突のある暖炉とつながっている部屋だ。 煙突の下にハンモックがあり、傘がついた大きな箱のようなものが乗っていた。 「まりさ、まずこのうえにのって」 まりさは箱の中に入れられた。結構広かった。 「ゆ?これからどうするの?えんとつからにげようとしても、そとにはにんげんがいるし、えんとつもふさがっているよ!」 「いいからここでじっとしていなさい!そうすればとおくににげられるわ!」 ありすの作戦は、まず煙突を発射台にするため、その中間あたりに箱とハンモックで弾を作り、 その下に部屋との仕切りをして、部屋の中を密閉する。 そうすると熱によって膨張した部屋の中の空気が逃げ場を求める。 下の仕切りが燃え尽きることで外に空気が逃げる。その勢いを利用して箱ごと飛び上がるというものであった。 性欲を失い、リミッターがはずれたためか、ありす種の知能は本来の力を発揮していた。まさに賢者そのものであった。 「よくわからないけどすごいね!はやくにげよう!いっしょににげようよ!!」 「まってて、まずこれ、ぱちゅりーのぼうし。こんなだいじなものをもっていかないなんてまりさったらほんとにばかね・・・」 「ゆぅ、まりさはばかじゃないよ・・・。でも、ありがとね!ぱちゅりーもいっしょだよ!」 「それから、これ、わたしのへあばんど、もしこれをなくしたらおぼえてなさいよ・・・」 「なんでありすのへあばんどをくれるの?ありすがもっていればいいのに!?」 「それから、あなたのこときらいじゃなかったわよ・・・。」 ありすはまりさのほほに自分のほほを触れさせた。人間が今生の別れの際の抱擁を行うように・・・ 「ありす、どうしちゃったの!!なんかおかしいよ!!ゆっぅ・・・ゆぅ!」 ありすはいきなりまりさ目掛けて体当たりをした。 「ゆぇ!」 ありすは泣きながら 「ゆ゛・・・」 何度も 「あ・・・ありす・・・」 何度も そしてまりさは動けなくなっていた。 「このしかけはね、だれかがふたをしたでしめるこがひつようなの・・・じゃあね、まりさ。そこでゆっくりしていってね・・・」 傷ついてこの家に来たありす。ここに来るまで、その生活は決して幸せなものではなかった。 一日の食事に泥水をすするのみのことが珍しくなかった。 ぼろぼろになって、体を治す暇さえなく這いずり回る日々。 だけど決して弱みを見せない。見せたくない。 そんなありすがゆっくりできたのがこの家。初めての仲間。最後に残った家族。 ありすは自分の命の使い方を決めた。 ありすは部屋の中に残った。まりさを助けるために。まりさは動けず、そんな彼女の姿をじっとみていることしかできなかった。 そして炎が部屋に侵入してきた。ありすは仕切りをした。まりさはありすの姿が見えなくなった。 姿が見えなくなってもありすの声が聞こえてくる・・・ 「ひぎゃぁ゛ぁ゛ぁっぁ゛ぁぁぁ!!!あ゛ぢゅ゛いぉよぉぉ゛ぉぉ!!」 まりさは知っている。火による熱さはは決して我慢しようとしてできるものではないと・・・ 「ぱじゅりぃ゛ぃぃだずげでぇ゛ぇぇ!!おねぇざあん゛ん゛ん゛んんん゛!!じにだくないよぉおぉ・・・」 絶対に聞きたくなかった声が聞こえてくる。ありすが今まで一度も出したことのないようなひどい声だ。 「ま、まりさ・・・ゆ・・・・ゅぅ・・・ゅ・・・ゅ・」 最期にありすの頭に浮かんだのは、女性に連れられ、まりさとぱちゅりーに始めて出会った光景だった。 そして仕切りが燃え落ちて、逃げ場を失った空気によりまりさは煙突から発射された。 ある木の空洞にまりさはいた。あの家に住む前に住処にしていた家だった。ここはまりさ『だけ』のおうちだ。 結局あの日まりさは逃げ切るのに成功した。 煙突より遠くに飛ばされ、気がついたらもう夜が明けていた。 皆と住んでいたあの家に戻ると、全てが灰になり、何も残っていなかった。 畑も、ギターも、そしてみんなの死体も。 まりさはあの日から、起きていると仲間たちの悲鳴を思い出すためにゆっくりすることができなかった。 まりさにとってゆっくりするために必要なものはおうちではなかった。 仲間が欲しかった。仲間さえいればどこでもゆっくりすることができる。 しかし今となってはゆっくりはまりさだけになってしまった。人間たちの滅菌作戦によりこの一帯のゆっくりは全滅した。 だれかと一緒にゆっくりすることはもうできない だからといって人間とはもう会いたくない。おねぇさんのようなやさしいひととおじさんたちのような怖い人、 どっちが本当の人間かわからなくなった。やさしくされた後に裏切られるのが怖くなった・・・。 だったら死んでしまえばいい。そう思ったことも何度もあった。しかしそのたびにまりさは結局死にきれない。 死ぬのは怖かった。おねぇさんのお願いであったみんなを守ること、それができなかったまりさは地獄に落ちるだろう。 でも、ぱちゅりーの帽子とありすのヘアバンドをかぶって眠るとみんなとの楽しかった日の夢が見れる。 起きているときは仲間達の惨たらしい最期しか思い出せなくなったが、夢の中では現実では決してありえない、幸せな光景がある。 まりさはおねぇさんに抱きしめられて、 ぱちゅりーが元気に外であそんで、 ありすが意地を張って、 れいむ親子が歌って、 ふらんがからかわれ、 れみりゃが飛び跳ね、 ゆっくり達みんなが笑っている。 そんな夢。 まりさは夢のほうがいいのなら、ずっと夢を見つつけることを選ぶ。現実なんかどうだっていい。 ゆっくりねむろうとまりさはまた夢をみようとしたとき、家の中に蛇が侵入してきた。うっとおしい。せっかくいい夢をみていたのに。 まりさはぼんやりと、二度と誰かに「ゆっくりしていってね」といえる日はこないと思った。 「ここはまりさのおうちだよ!ゆっくりでていってね!!」 ------------------------------------------------------------------- 平成20年8月17日 最後にケジメをつけるため、加筆修正しました。 これにてssを書くことを引退します。作者の方々のご活躍をお祈りして、 ゆっくりスレのこれまで以上の発展を願っています。今までありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5447.html
俺が家に帰ると、眠っている3匹の赤まりさと、2匹の赤れいむ。そしてその隣には、親まりさと親れいむが眠っている。俺は短い間買い物に行くだけだったので、抜けていたのかゆっくりが入れるくらいの大きな窓を開けていった。そして、現在に至った。 俺は虐待のチャンスだと思い、そっとゆっくりに近寄り、目の前にあまあま(クッキー)を置いた。 しばらくして、匂いに気がついたのか、赤れいむ1が 「ゆぴぴ…」と声を上げ、目を覚ました。次の瞬間、「ゆ!きゃわいいれいみゅにょちゃめにあみゃあみゃしゃんがはえちぇきちゃよ!」 目の前にあまあまがあった事で、赤れいむ1の眠気は一気に吹き飛んだ。その声のおかげで他の赤ゆ達も「ゆぁ…?」「ゆぅ…」「ゆぴ?」「ゆぇ?」 と一斉に目を覚ます。「ゆぅ!くっきーしゃんがはえちぇるよ!」×4 そして5ゆは一斉にクッキーにかぶりつく。 「むーちゃむーちゃ…ちあわちぇー!」×5 腹が減っていたのか、10秒も経たずに食べ終えてしまった。赤ゆ達は、まだ俺の存在に気付いていない様子。 (そろそろ行くか…) 俺は隠れていたソファの後ろから出たと同時に「ゆっくりしていってね(棒)」 「ゆぴっ!?!」×5 俺の存在に気付いていなかった赤ゆたちは、当然驚く。 「にんげんしゃんゆっきゅちちちぇいっちぇにぇ!」呑気な声を無視し、俺は水槽を持っていった。そしてまりさ種を水槽に入れ、あとのれいむ種は外に出したままにしておくつもり。まりさ種をつまみ上げた途端「ゆわーい!おしょらをちょんぢぇるみちゃい!」 「れーみゅも!れーみゅも!」「おにぇーちゃじゅるいにょじぇ!」羨ましそうに見ているが、赤まりさ1を水槽に放り投げた途端、赤まりさ1「ゆべっ!」「…ゆ?」「ゆぇ?」 「…おねえぢゃあぁぁぁぁ?!」×4 赤まりさ1「ゆ…?おきゃおしゃんどぼちていたいにょ…?」「ゆんっやぁぁぁ?!まーちゃにょうちゅくちいおきゃおしゃんぎゃぁぁ?!いぢゃいぃぃ!」 「おねーちゃいみゃたちゅけりゅきゃりゃにぇぇぇ!」 と言って水槽の壁に体当たりする赤まりさ2。赤まりさ2「ゆえっ!」「どぼぢでまえにしゅしゅめにゃいにょぉぉ?!」 何度も体当たりする赤まりさ2をつまみ上げ、水槽に投げ入れる。すると、 赤まりさ2「ゆべっ!」「ゆ!なきゃにはいれちゃよ!おにぇーちゃいみゃたしゅけりゅよ!」またもや壁に体当たりする赤まりさ2。「ゆぁぁぁ!?でらりぇにゃいぃぃ!?」 次に赤まりさ3を投げ入れるとたまたまその下にいた赤まりさ1の上に落ちていった。赤まりさ1「ゆごべぇっ!?」赤まりさ3「ゆ?いちゃくにゃいよ?……ゆぁぁぁぁ!?いもーぢょぉぉぉ!?」盛大に餡子を吐き出す赤まりさ1の上で、悲鳴を上げる赤まりさ3。それをただただ見ているだけの赤れいむ1,2,3。眺めているだけでとても良い気持ちになれる。次の日も虐待する為に、オレンジジュースをかけてやり寝た。 そのまま迎えた次の日、水槽の中をみると、幸せそうに寝ているではないか。赤れいむ1「ゆぅ〜ん!」「ゆ!れーみゅはおにゃきゃがしゅいちゃんぢゃよ!じじいはれーみゅのちゃめにあみゃあみゃをもってきゅるんぢゃよ!」 まるで昨日あったことを忘れているかのような言葉。完全にピキッときた俺は、「持ってくる訳ねーだろ」 「れーみゅしゃまがおにゃかしゅいちゃっちぇいっちぇりゅんぢゃよ!?」 「うるせーよ」 「はやきゅもっちぇきちぇ…」 グシャ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3871.html
※今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 神徳はゆっくりのために 真社会性ゆっくり ありすを洗浄してみた。 ゆっくり石切 ありすとまりさの仲直り ※今現在進行中のもの ゆっくりをのぞむということ1~ ※注意事項 バスケの人さんからのお題@大富豪「ニュークレラップ」。あまり消化できてない予感。 まず、上掲の作成物リストを見てください。 見渡す限り地雷原ですね。 なので、必然的にこのSSも地雷です。 では、地雷原に踏み込んで謙虚ゲージを溜めたい人のみこの先へどうぞ。 _______________________________________________ 「ゆゅぅん♪ れいみゅ、おしょらをとんでりゅよ!」 のんきな声が響くのは、人間さんのおうちのキッチンだ。 ミニトマトサイズの赤ちゃんれいむがゆっくりした笑顔を振りまいているのは、大好きな人間さんの飼い主の手のひらの上。 数秒間の空中遊泳をゆっくり楽しんだ後、赤ちゃんれいむはやがて優しくテーブルに置かれたお皿の上に下ろされた。 「おにーさん、おちびちゃんをはこんでくれてありがとう!」 「ゆゆん。りぇいむ、たのちかった?」 「とーぉっても、おにーしゃんのおててのうえはたのしかっちゃよっ!」 天板の上に既に乗せられていた親まりさと親れいむ、それに姉妹のまりさ二匹が空中遊泳を楽しむ赤れいむの到着を出迎えた。 テーブルの皿の上に置かれたとは言っても、この赤ちゃんゆっくりたちは食用ではない。 赤れいむたち三姉妹は、両親ゆっくりともどもれっきとした男性のペットたちだ。 ではどうして彼女たちがこんな場所に置かれたか、それには一つの目的がある。 「じゃ、行ってくるからな」 飼い主がこう告げる時は、決まってまりさ一家はこのテーブルの上に乗せられる。 高さ80センチほどのテーブルは、ゆっくりというナマモノの行動を束縛するには十分だ。 成体は飛び降りることができてもその逆はできないし、赤ゆっくりはまず落ちてしまえば無事ではすまない。 悪戯や暴走を防ぐには、高いところで待たせておくのが一番手っ取り早い手段ということだ。 「大人しくしてるんだぞ。暴れたら、危ないからな」 「ゆんっ、くすぐっちゃいよー」 ともすれば下を眺めようと端っこによりたがる赤ゆっくりを、飼い主はちょんちょんと指で転がし親のそばまで追い立てる。 彼は赤ゆっくりの頃からきちんと躾けたれいむとまりさをペットとして信用はしているが、彼らの親としての能力までは あまり信頼していなかった。 何しろ、今まで何度も失敗を積み上げているのだ。 取り立てて物的な損害を伴うものでこそなかったが、多くの場合赤ゆっくりの全滅という形で結末を迎えていた。 階段や傘立て、掃除機に雑誌。 人間の家はゆっくりにとって楽園だけれど、そこに存在するあらゆるものは僅かの油断で凶器にも変わる。 そのくせ外敵がいないものだから、親から離れることが危険なことだということを、なかなか赤ちゃんたちは体験する機会がない――、 というより、危険を体験するときというのは即ち死を迎えるときに等しい。 そんなこんなが重なり合って、好奇心旺盛で活動的、少しでも目を離せばすかさず探検に出かけてしまう赤ちゃんゆっくりたちを、 親ゆっくりはなかなか御しきれないのだった。 『ゆっくりりかいしているよ! みんなゆっくりしてきてね!』 理解はしていても、実践できないから一家は今テーブルの上に閉じ込められてしまっているのだけど。 それをなんとなく理解している親ゆっくりたちは少し寂しげに、よくわかっていない赤ゆっくりたちは高所からの視界に純粋に感激して、 男性のいつもの念押しに親子そろって返事を返す。 男性の表情は心配そうに曇ったままだったが、とはいえ彼だって車に家族を待たせてある。もう時間はとっくに過ぎているのだ。 テーブルの上に置いてあるのは、台布巾とニュークレラップの箱ぐらいのものだ。 危ないものは何もない……高さが既に死亡フラグ、というのは一先ず措くとして。 それでもリスクはこれが一番少ないんだ。またひとつ、大き目のため息を吐くと男性は今度こそドアノブを回した。 「すぐに帰ってくるから。本当に、大人しくしてるんだぞ」 最後に駄目押しの一言を残して、彼の姿はドアの向こうへと消えてしまう。 おそとから聞こえてくるのはゆっくりたちへの重ねての注意ではなく、遠ざかっていく主人の足音だけ。 やがて外からガレージのシャッターが降りる音と、車の走り去る音が聞こえてきて。 かくして、この家、このキッチンには総勢五匹のゆっくり一家だけが残された。 * * * ゆっくり一家が残されたテーブルの上は、ゆっくりにとってもあまり広いとはいえないほどの面積だ。 その天板のど真ん中に、親の二匹はそれこそ本物の饅頭のようにじっと固まって動かずにいた。 何しろゆっくりはバスケットボール大の餡子の塊だ。親二匹が飛んだり跳ねたりしたら、テーブルが傾き倒れてしまいかねない。 それを知っていればこそ、親まりさと親れいむの二匹は釘を刺されるまでもなく一家身を寄せあってテーブルの中心に静かに蹲り、 飼い主の帰りを待つしかないときちんと理解しているのだ。 ……しかし、それは成体にとっての都合でしかない。 三匹の赤ちゃんが駆け回るには不足のない安定感と広さであることを、この時れいむとまりさはすっかり忘れ去っていた。 「おきゃあしゃん、いっしょにあしょぼ?」 飼い主の家族が出てから、十分ほどもたった頃。 れいむにぴったり身を寄り添わせていた赤まりさが、早くも待つだけの時間に飽いた様子でゆんゆんと頬を母の頬へと擦り付けて言った。 「ゆ……ぅぅ? すーや、すーや……」 「ゆぴー……ゆぴー……」 一方の両親にとっては、飼い主の帰りを忠実に待つというのはもう慣れ親しんだ時間だ。 わが子の願いも馬耳東風、疾うの昔に夢の世界に旅立った二匹はわずかな反応を示したばかりでこちら側には戻ってこない。 「ゆう、ゆうう。おきゃあしゃん。おきゃあしゃんってばぁ」 「まりしゃ。おきゃあしゃんはおねむしゃんだよ。じゃまするとゆっきゅりできないよ」 「ゆぅぅ……」 体当たりまでしてしつこく親れいむに迫ったところで、体格が違うれいむには普段のごとく擦り寄られている程度にしか感じまい。 眠りを覚ますには遠くいたらず、それどころか却って姉まりさからやや強い口調で窘められて、妹まりさは泣きそうな顔をして押し黙った。 「ゆゆ。じゃありぇいみゅたちだけであしょぼうね!」 そんな姉妹の様子を見かねた真ん中の赤れいむが、そんな提案を口にするにはそんなに時間は掛からなかった。 このテーブルの上でじっと過ごす時間が退屈なのは、この赤れいむだって姉まりさだっておんなじだ。 でも、すやすや眠ってるお母さんたちに迷惑なんて掛けたくなかったから大人しくしているだけだ。 「ゆゆっ、いまれいみゅがいいこといったよ! まりしゃたちだけであしょぼうね!」 「それじゃ、てーぶるしゃんをたんけんしようね!」 「ゆっくりれーみゅおねえしゃんについていきゅよ!」 お母さんはおねむさん。起こしてしまうのは、かわいそう。 だったらどうするか、おとなしくしてるなんて選択肢は、幼い餡子脳には最初っからあるはずがない。 お母さんが寝ているなら、自分たちだけで遊んでいたらいい。 そんな結論にたどり着いたら、赤ゆっくりたちは次の行動に移るまでは早かった。 「「「ゆんゆん♪ ゆっゆっゆっ♪」」」 1m×2.3m程のテーブルの四辺を、姉まりさを筆頭に赤ゆっくりの探検隊が進む。 段差もなく、障害物もほとんどないテーブルの上はまだまだ身体能力の低い赤ゆっくりにとっては格好の運動場だ。 端っこに三匹揃って身を寄せて滅多に見れない広い視界に興奮し、洗ったばかりの台ふきんを見つけたらその上に転がって遊び、 胡椒瓶をうっかり転がして僅かに飛び散った粉に大慌てで逃げ惑い……、 「ゆぅ……たかいたかいだけど、なんにもないね」 きゃいきゃいと遊び続けること四半刻。 二匹の姉を追いかけていた末の妹まりさが、はたと動きを止めて呟いた。 「ゆぅん。たきゃいたきゃいだけだね……」 「ゆゆーん、つみゃんなくなってきちゃよ……」 妹の様子に気づいて振り返った姉まりさとれいむもやっぱりどこか浮かぬ顔。 幾ら赤ゆっくりにとっては狭くはないテーブルの上といっても、飽きるのも早かった。 何しろ危険がないようにとほとんど全て片付けられてしまったテーブルの上だ、飽きが来ないほうがおかしいのだけれど。 「おねーしゃん。おにごっこしゃんは、もうやだよぉ」 「りぇいみゅも、べつのことしちゃいな……」 「ゆぅん。でも、みんなであそべしょうなのなんて……」 困り果てた姉まりさは、ぐりんぐりんと頭だけの身体を回転させて四方八方に目を配る。 このままでは、末まりさばかりかれいむまで加わってまたおかーさんたちをたたき起こしに行きかねない。 それだけは避けたいと、平べったい天板の上を目を皿のようにして見回して―― 「ゆゆっ!」 見つけた、なんとか遊べそうなもの! ずーり、ずーりと少しずつおかーさんたちに近づいていく妹二匹に背を向けて、長姉まりさは見つけたそいつの元に急いで跳ねる。 そしてそいつ――長細い、あまあまさんの絵が描いてある箱の元にたどり着くと二匹に大声で呼びかけた。 「ねえ、りぇいむ、まりしゃ。こりぇであしょぼう!!」 「「ゆぅ?」」 突然の大声に、くるりと振り向いた二匹はとても不思議そうな顔をする。 「それは、おにーしゃんたちがつかってるくるくるしゃんだよ」 「くるくるしゃんのつるつるしゃんだ」 二匹とも、姉まりさが見つけたそれが何かは知っていた。 飼い主のおにーさんが、食べ物をひえひえのれいぞうこさんに隠すときによく使っているつるつるさんだ。 「ゆーん。これ、あしょべるものなの?」 そのことを知っていたから、れいむは疑わしそうな顔を姉へと向けた。 ここにはしあわせ~なたべものはない。くるくるさんでどうやって遊ぼうというのだろう? 妹まりさもれいむに同感のようで、ゆんゆんと身体を前後交互に上げ下げして頷くような仕草をしている。 だがそんな二匹を前にして姉まりさは「ゆっへん」と得意げに体を反らすと、箱からわずかにはみ出した『つるつるしゃん』の 端っこを口に咥えた。 「ゆっひょ……ひょふやっへ」 咥えた端っこを放してしまわないようもごもごと呟きながら、姉まりさは箱から遠ざかる。 すると見守る二匹の口から「ゆーっ!」と感嘆の声が聞こえた。 「ゆゆっ。くるくるしゃんがくるくるしゅると、つるつるしゃんがどんどんのびりゅよ!」 「ゆっへん! つるつるしゃんをひっぱると、くるくるしゃんがくるくるってなりゅんだよ」 「ゆゆん。まりしゃにもいっしょにやらしぇてね!」 姉まりさが後ろに下がると『つるつるしゃん』も下がった分だけ一緒に伸びる。 それを見て興奮したれいむはその場で飛び跳ね、妹まりさは跳ねより自分もがぶりと『つるつるしゃん』に噛み付いた。 「ゆひゅん。ひんひゃでひっひょにあひょぼうひぇ!」 姉まりさはそんな妹たちの様子に心底嬉しそうな笑みを零す。 うん、妹たちは喜んでくれた。しばらくは『つるつるしゃん』で楽しく時間を過ごせるだろう。 姉ゆっくりの面目躍如、赤ちゃんまりさは「ゆっへん」と得意げに胸を反らせた。 きっと、のちほどおかーさんにことのあらましを報告すれば、「おねーちゃんはえらいね」って褒めてもらえるに違いがないのだ。 * * * 飼い主の一家が家にいない時間というものは、長い短かいの差はあるにせよほとんど毎日のように訪れる。 おにーさんはおしごとだし、おねーさんだって買い物にでる。おにーさんのおちびちゃんたちは、ゆっくりの日以外は学校だ。 おうちの中に人間さんが誰もいないそんな時、親まりさと親れいむは大人しく寝て過ごすのが赤ちゃんが生まれるまでの習慣だった。 ちょろちょろ動き回っては、ともすれば遠くへ探検に出かけようとする赤ちゃんたちは、とにかく片時たりとも目が離せない。 目を離せばいつの間にか親の手が届かない場所で死んでいる、というのではとてもじゃないがゆっくりする暇なんてどこにもない。 だから両親二匹は今度の赤ちゃんが生まれてから後、おにーさんたちの外出時にはテーブルの上に置き去りにするようにしたことに とてもゆっくりとした感謝の念を抱いていた。 どれくらいゆっくりとした感謝かといえば、心配そうなおにーさんの顔を思い浮かべながらゆっくりぐっすり寝こけてしまうほどだ。 「……ーん……」 二匹仲むつまじく寄り添って、どれくらいの間寝ていたのだろう。 むずむずと体を身悶えさせて、先に目覚めようとしていたのは親れいむのほうだった。 「ゆ……ゆぅ。れいむの……ゆふぁああぁぁ」 今は夢の中だろうか。それとも、現実? まだ朦朧とした意識の中、近いような、遠いような不思議な距離感でいとし子の泣く声が聞こえたような気がした。 「れいむの、あかちゃん……?」 大あくびをして、目をしばたかせてもまだ泣き声は続いている。見える光景は眠る前と同じ、となればどうやらこれは現実らしい。 そこまでゆっくりと意識を覚醒させて、身を寄り添わせていたはずの赤ちゃんたちの感触がないことにようやくのこと気がついた。 どこか、その辺りに散歩に出かけたのだろうか。寝ぼけまなこを左右に向けて、泣き声の元をゆっくりと探す。 「どこなの? どうしたの? どうしてないてる……の!?」 ゆっくりと、まなこに続いて体全体も左右に振ってわが子を探す、そして見つけた。 見つけた瞬間、口を大きくあんぐりと開けて凍りついた。ピシィッ、とそんな音が聞こえるぐらい。 「ゆっ、ゆゆゆゆゆゆっ!!?」 「……ゆ?」 舌の根から喉まで凍りつかせたれいむは驚きをまともな言葉にすることもできていない。ただ意味を成さない叫び声をあげるだけ。 間近で放たれた奇妙な大声に、まだすやすやと寝息を立てていた親まりさも流石に眠りを妨げられた。 「どうしたのれい……むうううぅぅ!?」 眠たそうに聞いて、不思議そうにつがいが視線を向ける方向を追いかける――と、親まりさの言葉も中途で絶叫に代わる。 「「うわあああぁぁぁぁ!!!」」 夫妻揃って目をまん丸にして見つめるその先では、 「ゆぁぁぁん、おきゃーしゃーん!!」 「たしゅけて、たしゅけちぇえええぇっ!!」 「ゆーん、ゆーん!!」 『つるつるしゃん』に包まって身動き取れなくなっている可愛い赤ちゃん三匹の姿があったのだ。 「ど、どどどどおじでれいむのあかちゃんがぐるぐるまきになってるのおおぉぉぉ!?」 「とっとととととりあえずっ、はやくたすけなくちゃ!」 親れいむと親まりさには、何がどうなってこんなことになっているのかとっさには分からない。理由はさっぱりわからないが、 これがとてもゆっくりできない状況だということだけははっきりしている。 だから二匹は何を措いてもまず我が子の元へと急いだ。 「「「ゆうううぅぅっ、ゆうううぅぅっ!!」」」 「ゆあああぁぁっ!? これどうしたらはずせるのおおぉぉぉ!?」 「ゆっくりしてね、れいむ! つるつるさんをかみやぶったらいいよ!」 だくだくと砂糖水の涙を流して悶える赤ちゃんたちを前に、パニック状態の親れいむを親まりさが叱咤する。 いつもおにーさんたちはこのつるつるさんを簡単に千切っていた。眠る前にはつるつるさんはきちんと箱に収まっていたのだから、 赤ちゃんたちも自分で千切ってお互い包まりあったに違いない。 なら、大人のゆっくりである自分たちに同じことができないわけがない、そう考えた親まりさの態度は自信たっぷり余裕たっぷりだ。 「ゆっ! まりさはやっぱりあたまがいいね! あかちゃんうごかないでね!」 そんなつがいの態度に感化されて、親れいむもすっかり落ち着きを取り戻した。 まずは一番近くに転がっていた、末の妹まりさを包むラップのだぶついた部分にかぶりつく。 「おきゃーしゃん、がんばっちぇね! はやくたしゅけちぇね!!」 「ゆっくりかみちぎるよ! ……かーみ、かーみ! はーむ、はーむ!」 わが子の声援を受け、ひと噛み、ふた噛み、み噛み……と一所懸命に噛み続ける。 が、もちろん単純になことで千切れるはずなんてない。赤ちゃん姉妹がつるつるさんを千切れたのは、箱の縁に付いている刃に巧く 引っかかったからなわけで…… 「どうしたの、れいむ?」 「おきゃーしゃん、はやくしちぇね!」 「ゆう……? もっとがんばるよ!」 はて。さっき、まりさが自信たっぷりに言っていたことと様子が違うような? そんな疑問がふつふつと親れいむの心に浮かんできたが、それも妹まりさが急かす声を聞けばあっさりすっぱり吹き飛んだ。 「かーみ、かーみ! はーむ、はーむ!!」 優しくゆっくり噛んでも駄目なら、強く激しく噛んだらどうだ。 そう思い立った親れいむの勢いときたら、がちんがちん、と歯をかみ合わせる音が聞こえるほど。 その効果の程はといえば、 「ゆっ、ゆゆっ!? おきゃ、ゃだ、やめ、やめやみぇ……」 せいぜい目の前に迫るおかーさんの大きなおくちに、赤まりさが怯えはじめる程度のものだったり。 ぜんぜん千切れる様子のない『つるつるさん』に、親れいむは焦る、苛立つ、加速する。 「ゆうううっ! かーみ、かーみ! はーむ、はーむ!! かーみ、かーみ!!!」 「こわぃっ! おきゃーしゃんこあい、こやいっ!! やめちぇ、まりしゃをたべにゃいでにぇっ!!」 赤ちゃんが何か叫んでいる、早く助けてあげないと。 頭に餡子の上った親れいむはさっぱり叫びの内容が聞こえていない。ますます噛み締める力と速さを増して、 「むーしゃ、むーしゃ!!! むーしゃ、むーしゃ!!!!」 「やめやめちゃめらちぇ……ゆぎゃああぁぁぁ!?」 ……なんか、赤ちゃんがすごい悲鳴を上げたような。 同時に柔らかいものを噛み潰すような感触が伝わったような気もする。 親れいむは「ゆゆっ?」と噛み進めるのを中断して、何故か突然分厚く、柔らかくなった『つるつるさん』から口を離して まじまじと目の前の妹まりさの様子を見直した。 「ゆ゛っ」 「ゆ゛っ、ゆ゛っ」 親れいむと赤まりさ、揃って口から漏れ出したのは濁った呻き声。 「どうしたのれいむ! あかちゃ……あがぢゃあああぁぁぁぁんっ!?」 硬直した親れいむの横で、それまで背後にいたはずの親まりさが耳をつんざくような絶叫を上げた――ゆっくりに耳なんてないけれど。 まあ、それも無理のない話だろう。なにせ、親れいむが見事助けるはずだった赤ちゃんまりさが、少しも自由になっていない、 どころかほとんど真っ二つになりそうな勢いでべこんと歯形を付けられていたんだから。 「でぇぇぇいぶぅぅぅぅぅ!? なんであがぢゃんをかみがみじでるのおおぉぉぉ!!!」 「「おきゃーしゃん、まりしゃをたべにゃいであげてええぇぇぇ!?」」 「こ、これはじこだよ! れいむはさついをひにんするよ!!?」 「じこってレベルじゃないでしょおおぉぉぉ!?」 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……」 まあ、要するに。必死になって噛み千切ろうとして、親れいむはうっかり赤ちゃんの後頭部に力いっぱい噛み付いてしまいましたと。 ほぼ真っ二つになった赤ちゃんまりさはぎょろりと白目を剥きだしにして、濁った呻き声と共に痙攣を繰り返している。 「ゆうぅ。あっ、あんこさんもれてないからだいじょうぶだよ!」 なんて親れいむは弁解するものの、どう見たって大丈夫じゃない。 まあ確かに、巻かれたラップのおかげで餡子だけは漏れ出していないけど。 「あんまりだいじょうぶじゃなさそうだよ……と、とにかくこのこはおにいさんがかえってくるまでぜったいあんせいだよ!」 親れいむの言葉を真に受けた訳ではないけれど、もう親まりさにだって手の施しようなんてない話だ。 おにいさんが早く帰ってきて妹まりさを手当てしてくれることを願いつつ、大丈夫と言い切ったものの未だおろおろしている 親れいむにくるりと背を向けた。 「れいむはそのこをみててね! それいじょうかみかみしたらおこるよ! まりさはこっちのあかちゃんをたすけるよ!」 「ゆぅっ!?」 一部始終を見ていたからだろう、親まりさの正面に回った赤ちゃんれいむがぎょっとして体を震わせた。 「い、いりゃないよ! りぇいむはだいじょうぶだよっ! おにーしゃんがかえってくるまでまちぇるよ! だかりゃっ」 「そんなかっこうじゃゆっくりできないよ! ゆっくりたすけるから、おとなしくしていてね!」 今は大丈夫なようだけど、このままぐるぐる巻きになっていて無事に済むとは限らない。 それに親まりさにだって意地と、飼い主への忠義がある。飼い主のおにいさんの手を、これ以上煩わせるのは嫌なのだ。 妹の命運を見て必死に放置を訴えかける赤ちゃんれいむの言葉なんて、今の親まりさには届かない。 ゆんゆん泣き喚く赤ちゃんれいむをぴしゃりと厳しく一喝して黙らせると、親まりさはじろりとその子の格好を眺め渡す。 「おにーさんは、いっつもつるつるさんのきれはしをぴぴっとつまんではがしていたよ。だから……」 同じようにクレラップの切れ端を咥えて引っぺがせば、問題なく救出できるはずなのだ。 さっきはれいむのやり方に任せていたからとんでもないことになったが、自分ならきっと巧くやれるはず。 「ゆっ、きれはしさんだよ!」 ほどなく端っこを上手く見つけ出したまりさは、ためらうことなくそれを前歯で咥えた。 このまま一気にぐりんと引っ張れば、ころころと赤ちゃんが転がり出るはずだ。 「ゆうぅ……おきゃしゃん、だいじょうぶ……だよね」 「それじゃ……ゆっせーの、せーっ!」 心配そうな赤ちゃんを他所に、当の親まりさは真剣そのもの。 だいじょうぶ、と請合う余裕もないらしい。ただ掛け声だけをわが子の不安への答えにして、ぐいっと身を捩ってラップを引っ張った。 「ゆゆんっ♪ ころころしゅるよっ!」 ぴっ、というラップ特有の音と共に、赤ちゃんれいむの楽しそうな声がする。 何層にも巻かれたラップが引っ張られ、剥がれて行くのに遭わせてくるくる、くるんと中の赤ちゃんれいむが回転した。 くるくる、くるくる。 ころころ、ころころ。 くるくる、くるくる。 ころころ、ころころ。 まりさがラップを噛み直し、勢いよく引っ張るたびに、赤ちゃんれいむを包む厚みが薄くなっていく。 もうすぐ、後三回、二回、一回で。全部、つるつるさんは剥ぎ取れるはず。 最後は大体一回転半分ぐらいだろう、そう見て取ったまりさは一度に剥ぎ取ってしまおうとことさら勢いをつけてラップを引っ張った。 「ゆっ、あかちゃんよくがんばった……ねっ!!」 「ゆゆーっ!」 はたして、残りのラップの長さは親まりさの想像通りおおむね一回転と少し分。 赤ちゃんれいむはころりころりと転がりながら、無事な解放の予感にきゃっきゃと喜びの声を上げ、 「ゆっゆー♪ ころころ~……とみゃらないぃぃぃっ!!」 ……どうやら髪飾りに絡まっていたらしく、ぶうんとラップに引っ張られる形で宙をすっ飛んでいった。 テーブルの上から、その下までへ。とどまることなく一直線。 「「あがぢゃああああああぁぁぁぁぁぁんっ!!!」」 「りぇいみゅううううううぅぅぅぅぅぅっ!!?」 「ゆ゛っ、ゆ゛っ」 天板の上の家族が叫んでみても、赤ちゃんれいむはもちろん一家の元まで戻ってくることなんてできっこない。 定番の「おしょらをとんじぇるみちゃいー♪」なんて言葉が聞こえる間もなく、赤ちゃんの姿はテーブルの端の向こうに消えて、 「ゆびぇっ」 ……しばらくしてから潰れた悲鳴が下のほうから聞こえてきた。 ぐちゃっ、って潰れたような音もしたような、しなかったような。 「ゆびゃあああぁぁぁっ、まりしゃのいもうちょがあああああぁぁぁぁぁっ!!?」 気が付けば、ついぞ先刻まで楽しく遊んでいた姉妹がすでに自分ひとりを残すのみ――いやまだ死亡確定してはないけれど。 ラップにくるくる巻かれた身体では、妹の安否を知るために移動することも、ショックでえれえれと餡子をはくこともできない。 だからせめて、こんなとんでもないことをしでかす親を詰ろうと自由になる両眼だけをじろりと両親の方へと向ける。 「おきゃーしゃん! どおじでこんなごどずるのっ!! まりしゃのいみょうと、いにゃくなっちゃ……ゆ?」 そうして怒りに身を打ち振るわせて、悲壮かつ高らかにあげた抗議の声はなにやら不安げな色に塗れて尻すぼみに消えた。 なぜってそれは、驚き慌て悲しみに暮れていて然るべき両親が、妙に落ち着き払った様子で静かにまりさを見つめていたから。 「ゆ、ゆゆっ? お、おきゃーしゃん……?」 なんだかゆっくりできない空気を感じ取って、姉まりさは妹の心配も忘れておずおずと親ゆっくりに話しかける。 でも両親二匹は答えてくれない。ただ、落ち着いた……というより表情の抜け落ちた顔をお互い見合わせ、一つ大きく頷いただけ。 それから再び姉まりさの方へと向き直ると、能面みたいな無表情を崩さずずーり、ずーりとゆっくりこちらに近づいてくる……! 「や、やめちぇね。こっちにこにゃいでね……!」 ゆっくり、ゆっくり近づいてくる二匹のおかーさん。死んだような眼差しがとてつもなく恐い。 姉まりさは近づいてくる両親との距離を開こうともぞもぞ身体を動かすけれど、十重二十重に自ら包まったラップが邪魔して動けない。 「……まりさ。いまたすけてあげるからね」 「だからゆっくり、おとなしく、しててね……」 親ゆっくり二匹は表情ばかりか、呼びかける声まで地獄の底から響くよう。 ぶるぶる震えていた姉まりさの身体は、今や違う理由でがくがくがたがたと震えてる。 そんなわが子の様子などお構いなしに、ゆっくりゆっくり、まったく同じお顔、同じ速さで近づいてくるお母さん。 その目はまっすぐ姉まりさの方を見ていて、でも姉まりさのことなんて見ていないようで。 「ゆっくりしてね、だいじょうぶだよ」 「こんどはおかーさんたちにひきで、いっしょにがんばるからね」 ゆっくり、にっこり、二匹して揃って笑う。 「まりさとれいむのだいじなおちびちゃん」 「いっぴきだけになっちゃっただいじなおちびちゃん」 笑ってじりじり、にじり寄る。 「ゆ、ゆあっ、ゆああ、ゆあああああっ!!!!」 じりじりと、ゆっくりと。二匹の身体が窓から差し込む外の日差しを遮って、赤ちゃんを影に包みこむまであとほんの少し。 目の前に迫ったおかーさんの笑顔に姉まりさは怯え、逃げることも出来ずにただ意味のない叫びを放つだけ。 やがて閉ざされたラップの中で、砂糖水の涙を滝のように流す姉まりさの間近に二匹の口が迫り――、 「「ゆっくり、していって、ね……!!」」 「ゆぎゃぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」 * * * ――いろいろごたごた起きてから、おおよそ一時間ほどの後のこと。 「……ゆううぅぅぅ」 「まりさとれいむのおちびちゃんたち……」 飼い主一家の帰宅の後、今の片隅に二匹寄り添ってさめざめと泣く親れいむと親まりさが見上げるこたつの先で、 「ぴゅんぴゅん!」 「ゆっくちできにゃいおかーしゃんたちは、りぇいみゅたちにちかづかにゃいでね!!」 「ちかづいたりゃおこりゅよ! じぇったいゆるしゃないからね! ぷくーっ!!」 ……元気に両親を威嚇する赤ちゃん三匹の姿があった。 広げられた新聞紙の上に、がっぷりと噛み跡の着いた赤まりさに、高いところから落ちた饅頭のように厚みを失い広がった赤れいむ。 そして、何やらラッピングを無理やり引っぺがしたみたいに薄皮がところどころ剥げた後のある赤まりさ。 そんな三匹が居座るコタツの上に並ぶのは、小麦粉の袋と天然水のボトル、水に溶かした小麦がまだ残る調理用のボウルに、 ゆっくり治療の伝家の宝刀、愛媛県産オレンジジュース。 あれから程なく飼い主一家が戻ってきたとき、最初に耳に飛び込んできたのは近所迷惑確定の両親ゆっくりの泣き声だった。 それでまた全滅かと家族揃ってため息こぼしたところで弱弱しい赤ゆっくりの泣き声が混じっていることにようやく気が付き、 慌てて戸棚からゆっくり治療セットを取り出し親子協力しての治療作業となったのだ。 幸いにして一匹目は餡子の漏れようもないラッピング具合だったがために、見た目相当な深手にも係わらず生命に別状なく、 二匹目はいったん椅子の分厚い座布団に落ち、さらにこの事あるを予期して床に敷かれた毛布の上に落ちたために一命を取り留め、 三匹目は見た目こそ派手な傷だけど、逆に餡子には一切触れない怪我だったが為に気の狂いそうな痛み以外に問題はなく。 「……生命には問題なく、ってワケだけど。見た目悪くなっちゃったなぁ」 治したものの奇形もどきの姿になってしまった赤ちゃんたちに、飼い主の男性は今更ながら渋い顔をした。 そりゃそうだ、飼うならやっぱり愛らしい姿形のほうがいいじゃないか。 しばらく三匹を眺めていた男性は、やがて名案を思いつく。いっそ命は助からなかったことにして、一度リセットしてみてはどうか。 「なあ、全部なかったことにして、また三匹までなら産んでも……」 しかし、親れいむと親まりさにとってはそうじゃない。反抗的でも見目が悪くても、あの三匹は紛れもないわが子だから。 男性の提案を皆まで聞かず、とんでもないと驚愕の様子をにじませてすりすり二匹が男性の足に擦り寄った。 「ゆっ!? だ、だめだよおにーさん。おねがいだから、あのこたちはれいむとまりさにそだてさせてね!」 「おねがいね! おにーさん、あのこたちをまりさとれいむにそだてさせてね!!」 かてて加えてあの子たちの怪我の原因を質せば、自分たちの責任だって負い目もある。 足元に縋り付く両親ゆっくりの必死の願いは部屋の外から様子を窺う男性の子供たちの湿度の高い視線に力強く後押しされて、 男性はため息を吐いて提案を大人しく引っ込めざるを得ない――まあ、元から本気ってワケではなかったのだけど。 「わかったわかった。好きなようにしろ……さてとりあえず、こたつの上を片付けるか」 両親にゲス的な酷薄さがないのは、飼いゆっくりとしては良い傾向だ。 歪にゆがんだ形だって、治そうと思えばどうにでもなる。ゆー物病院なんてものだって、この世界にはあるものだし。 だから男性はまたため息を一つ残して、まとわりつく両親ゆっくりを払いのけてこたつの方へと向かった。 「「「ゆゆん、おにーしゃん。ゆっくちしていってにぇ!」」」 「はいはいゆっくりゆっくり」 出迎える赤ちゃん姉妹の呼びかけは適当にいなし、さて何からどう片付けたものか。 まず、ボウルに入った練り小麦はまだ治療の補足に使うかもしれない。ラップを巻いて冷蔵庫に入れておこう。 男性はキッチンのテーブルからニュークレラップと書かれた箱を持ち寄ると、何やら赤ちゃん姉妹がこちらを凝然と見つめているのを 不審に思いながらもびーっとラップを引き出――、 「「「「「ゆぎゃぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」 ……あ。親まで一緒に昏倒した。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2160.html
(注1)何の罪もない、純粋で心優しいゆっくりが酷い目に遭います。 (注2)東方原作キャラが出てきます。 ゆっくりと悪魔のような子供達 四月。若草芽吹く、暖かい季節。 それは、人間にとっても、ゆっくりにとっても心が浮き立つようなシーズン。 春の陽気に誘われて、二匹のゆっくり――れいむとまりさが、 桜の花びらが舞う小道を楽しそうに跳ね回っていた。 「ゆっゆっゆー! とってもあったかいよ! まりさ!」 「そうだね! すっごくゆっくりできるね!」 冬の間、巣の中でゆっくりと過ごしていた二匹の体には、エネルギーがあり余っていた。 『皆にゆっくりしてもらいたい』という本能を抑えきれず、道端の草花に挨拶し始める。 「たんぽぽさん! こんにちわ!」 「つくしさん! とってもゆっくりしてるね!」 暖かくなってくると、人間でもこういう事をしている人が時々いるが、 その人達も『皆にゆっくりしてもらいたい』と思っているのかもしれない。 ひとしきり挨拶して回ると、二匹は達成感に満ち足りた表情で頬をすり寄せた。 「「すーり、すーり、しあわせー♪」」 密着した皮がフニフニと形を変える様は、まるでマシュマロが相撲を取っているようだ。 親愛の情を表すにしては、やけに濃密な触れあいである。この二匹、どうやら夫婦らしい。 「ゆ~! まりさのほっぺ、きもちいいね!」 「ゆっゆっ! れいむのほっぺもきもちいいよ!」 れいむがまりさの頬を甘噛みして引っ張りだした。 弾力性のあるまりさの頬はゴムのように柔らかく伸張する。 大好きなれいむの激しいスキンシップに、まりさは思わず恍惚の声をあげた。 「ゆ~ん!」 お返しとばかりに、今度はまりさがれいむの頬を唇で挟んで引っ張る。 「ゆゆ~ん!」 二匹はその後一時間、ただひたすらにそんな事を繰り返していた。 人間ならば、たとえ新婚夫婦でもそこまでベタベタしてはいられない。 なんの仕事も役割も無い、ゆっくりならではの時間の過ごし方と言えるだろう。 やがて、愛する伴侶とのスイートタイムを満喫した二匹は家路につく事にした。 「おうちにかえろうね! ゆっくりかえろうね!」 「そうだね! こんどはおうちでゆっくりしようね!」 弾けるようなゆっくりスマイルで、巣に向かってスキップする二匹。 その姿を写真に撮ったなら、タイトルは『幸福』とつけるのが最適だろう。 ぼよん ぼよ~ん ぼよよ~ん ゆっくりの飛び跳ねる、ディズニーアニメの効果音みたいな音が周囲に響く。 今日はとてもゆっくりした良い日だった。明日もきっと、良い日に違いない。 その時だった。二匹が着地した地面が、突然陥没したのだ。 「「ゆっくりぃー!?」」 珍妙な叫び声をあげて落下するれいむとまりさ。 手足の無いゆっくりに受身など取れるはずも無く、 穴の底へ顔面から派手に激突する。 「「ゆぐぅっ!?」」 それでも、二匹にとって幸運だった事が二つある。 一つは、ゆっくりには鼻も骨も無いので、顔面から落ちても鼻が折れる事は無い事。 もう一つは、穴がそれ程深くはなかったので、激突の衝撃が大きくなかった事だ。 穴の底には、変な鳥のイラストと『バーカ』と書かれた一枚の紙が落ちていた。 この穴は、おそらく子供が悪戯で掘った落とし穴なのだろう。 「まりさ、だいじょうぶ!?」 「まりさはだいじょうぶだよ! れいむはだいじょうぶ?」 「れいむもだいじょうぶだよ! ふたりともだいじょうぶだね!」 「そうだね! よかったね!」 お互いの無事を確認して安心し、すりすりと頬をこすり合わせる二匹。 どんな状況に陥ろうともパートナーさえ元気ならば、自分達はゆっくり出来る。 そして、ゆっくり出来さえすれば自分達は幸せだ。 「それじゃ、ここからでようね!」 「そうだね! ゆっくりでようね!」 そう言って、ぴょんぴょん飛び跳ねるれいむとまりさ。 しかし二匹の跳躍は、地上までもう少しという所で届かない。 「でられないね!」 「そうだね!」 落とし穴にはまり、脱出できない。 それは、野犬や鳥などの天敵が多いゆっくりにとって、非常に危険な状況だった。 だが、二匹はニコニコと笑っていた。たいていのゆっくりは、馬鹿がつくほど楽天的なのだ。 「とおりかかったひとに、たすけてもらおうね!」 「そうだね! それまでは、ここでゆっくりしようね!」 他力本願な考えだが、ゆっくりにしては賢明な思いつきだろう。 自分達の力で脱出できない以上、誰かに助けてもらうしかない。 そんな二匹の願いが神様に通じたのか、落とし穴の外から人間の話し声が聞こえてきた。 「おい、昨日掘った落とし穴に何か落ちてるみたいだぞ」 「どうせ、犬とかじゃないの?」 声の主は十歳くらいの少年と少女だった。 れいむとまりさは子供達に向かって元気いっぱいに挨拶する。 「「ゆっくりしていってね!」」 その声を聞いて、のんびり歩いていた子供達が駆け足で落とし穴に近づき、中を覗き込む。 「……おい、やったぞ。ゆっくりだぜ」 「……やったね。ゆっくりは虐めがいがあるもんね」 どうやら、願いが通じたのは神様ではなく悪魔だったらしい。 二人の子供は、無邪気で残酷な笑みを口元に張り付かせている。 だが、知能の低いれいむとまりさには、その悪意が伝わらなかったようだった。 「ここからだしてね! それから、れいむたちとあそぼうね!」 「なにしてあそぶ? おにごっこ? かくれんぼ?」 二匹は、もうすっかり助けてもらえると思い込み、 落とし穴から出た後、子供達と何をして遊ぶかを考えて楽しげに体を揺らしている。 そんな能天気な二匹を見て、子供達は心底おかしそうに笑い出した。 この世に悪魔が本当にいるなら、きっとこんな顔で笑うのだろう。 「そうだな、何して遊ぼうか?」 「縄跳びなんてどうかな?」 そう言うと子供達は、手さげカバンから縄跳びを取り出した。 「なわとび? そんなあそびしらないよ!」 「でも、なんだかたのしそうだね!」 ゆっくりは遊ぶのが大好き。 初めて聞く『縄跳び』という遊びに、れいむとまりさの胸は高鳴った。 「ああ、楽しいよ。もっとも、楽しいのは俺達だけなんだけどな」 少年は、縄跳びの持ち手を二つとも片方の手で握り、即席の鞭を作った。 そして、二、三度縄跳び鞭を回し、その勢いを殺さずにれいむのくりくりとした瞳に叩きつける。 バッチィィィイイイイン! 「ゆっぎぃぃぃぃいいいい!!!」 「れいむぅぅぅぅうう!?」 鋭くも乾いた打撃音と共にれいむの右目が弾け飛び、 その残骸と眼窩から噴水のように吹き出した餡子が、すぐ隣にいたまりさの顔面に降り注いだ。 ほんのり赤みの浮いたまりさのもちもちほっぺが、れいむの餡子で茶黒くデコレートされていく。 「いだい! いだい!! いだい゙い゙い゙い゙!!!」 「めがあ! れいむのきれいなおめめがあ!」 自分の身に何が起こっているか理解できず、パニックになってのた打ち回るれいむ。 眼球が潰れる。少しつねっただけで泣き出すような、痛みに弱いゆっくりにとって、 それは想像を絶する苦痛に違いない。 「わあ、一発で目に当てるなんてすごいね。私も狙ってみようっと」 少女は楽しそうに微笑むと、縄跳び鞭を振りかぶり、れいむの左目を狙って振り下ろす。 おそらく、今まで何度もこうやってゆっくりをいたぶってきたのだろう。 その動作は手馴れたものであり、縄跳び鞭の先端は的確に狙い通りの場所を叩く。 バッチィィィイイイイン! 「いぎゃぁぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 「やめてえええ! れいむがかわいそうだよおお!!」 れいむの左目は真っ赤に腫れ、大量の涙液が少しでも痛みを癒そうと溢れ出る。 眼球が砕けなかった事は不幸中の幸いと言えるだろう。 「お前だって上手いじゃないか」 「でも、目が潰れなかったよ。悔しいなあ」 残念そうに眉をひそめた少女は、その鬱憤を晴らすかのように、 れいむに縄跳び鞭を叩きつける。何度も、何度も、執拗かつ入念に。 バッチィィィイイイイン! 「いたいよ! いたいよ! ゆっくりやめてね!」 バッチィィィイイイイン! 「やめてね!! やめてね!! すっごくいたいよ!!」 バッチィィィイイイイン! 「いだい゙っ!!! いだい゙っ!!! ほんどにいだい゙い゙い゙!!!」 バッチィィィイイイイン! 「も゙ゔや゙べでえ゙え゙え゙!!!! ゆ゙っぐり゙じだい゙い゙い゙い゙!!!!」 激痛に悶絶するれいむ。まりさはその側で呆然としていた。 なんにも悪い事をしていないのに、何故こんな目に遭うのか。 子供達が面白半分で虐待をしてくるという事は、まりさの理解を完全に超えていた。 少年は、泣き叫ぶれいむを指差して、まりさに話しかける。 「おい。こいつ、お前の仲間だろ? 助けなくていいのか?」 理解不能な事態に放心状態になっていたまりさが、その言葉で我に返る。 愛しいれいむが理不尽な暴力で苦しんでいるのだ。助けなくてはいけない。 体の芯から来る強烈な震えで、ちいさな歯をカチカチと鳴らしながら精一杯の抗議をする。 「やめ、やめ、やめてあげてね! いた、いた、いたがってるよ!」 言えた。途中で何度も言葉に詰まったが言えた。これで酷い事を止めてくれるに違いない。 まりさはそう思って、いまだにれいむを叩き続けている少女を見上げる。 だが、少女が言い放った台詞がまりさの淡い希望の灯火を吹き消した。 「知ってるよ。と言うより、痛がらせる為にしてるんだよ」 「どうじでえええ!!?? そんなのひどいよおおお!!!!」 哀願が通じない以上、まりさに出来るのは落とし穴の隅でブルブルと震える事だけだった。 生まれてから今まで、平和にゆっくりする事だけを考えてきたまりさにとって、 『戦う』という考えなど浮かぶはずも無かった。 もっとも、子供達に戦いを挑んだとしても、その結果は悲惨なものになる事は必定だが。 目の前で大好きなれいむがボロボロになっていく様を見せ付けられながら、まりさはこの悪夢が終わる事を願った。 縄跳び鞭による拷問は、それから十分間も続いた。 最初の頃は叩かれるごとに絹を裂くような悲鳴をあげていたれいむも、 今では精根尽き果てたのか、ぐったりとして弱々しいうめき声を吐き出すだけになっていた。 バッチィィィイイイイン! 「ゆ゙ぐ゙っ……ゆ゙ぅっ……」 バッチィィィイイイイン! 「ゆ゙っ……ゆ゙っぐり゙……じだぃ……」 反応が薄くなった事が面白くないのだろう、子供達はれいむを叩くのを止めた。 ひとまず暴虐が終わった事で、それまで子犬のように怯えていたまりさが慌ててれいむに駆け寄る。 「ゆ゙っぐり゙ぃ……」 「れいむ、だいじょうぶ?」 「い゙だぃ……い゙だぃよぉ……まりざぁ……」 「ごめんね……たすけられなくて……ごめんねぇ……」 まりさは涙を流しながら、れいむの体に出来た痛々しい傷をぺろぺろと舐める。 暴行を受ける前のれいむは、ゆっくりの中でもかなり可愛いゆっくりだった。 爛々と輝く大きな瞳に、透き通るような白い肌。艶のある黒髪はサラサラで、とても良い香りがした。 だが、今のれいむは片目が潰れ、体中に無残なミミズ腫れが浮かび、 振り乱した髪はぐちゃぐちゃで、お世辞にも可愛いとは言えないゆっくりになっていた。 ほんの一時間前のれいむの愛らしい笑顔を思い出し、まりさの心は締め付けられるように痛んだ。 そんなまりさの気持ちを知ってか知らずか、子供達は楽しそうに談笑していた。 「縄跳びでれいむを叩くのも飽きたね。次はどうしよっか?」 「次はまりさにするか」 突然自分の名前があがって、まりさは口から心臓が(無いけど)飛び出しそうになった。 れいむが虐められるのを見るのも嫌だが、自分が虐められるのも嫌だ。 「やめてね! こっちこないでね!」 まりさは両の瞳にいっぱいの涙を浮かべて必死に嘆願するが、まったく無駄な事だった。 『やめて』と言われておとなしくやめるような子供達なら、そもそもこんな事はしない。 逆に、憐憫を誘う表情が子供達の嗜虐心に油を注ぐだけだった。 「こいつ、可愛い顔で泣くな」 「そうだね。やっぱり、可愛いゆっくりを虐めるのは楽しいよね」 泣いている自分を見てクスクス笑う子供達を、まりさは心底恐ろしいと思った。 普通、泣いている者がいたら慰めてあげるのものだ。 だが、この人達は、まりさが泣いているのを見て楽しんでいる。 いや、それだけではない。れいむを叩く時も、とても楽しそうだった。 『どうして? どうして? どうして? どうしてこんなことするの?』 まりさはその疑問を、気づかぬうちに口から出していた。 「どうしてこんなことするの?」 まりさに質問された子供達は、 一度お互いの顔を見合わせて、すぐにまりさの方に向き直る。 「そう言えば、どうしてなんだろうな?」 「自分でも理由はよく分からないけど、あなた達を見てると虐めたくなるの」 子供達のあっけらかんとした口調に、まりさはポカンと口を開けて固まってしまった。 理由がよく分からないのに虐める? どうして? どうして? どうして? わからない……わからない……わからない……いみがわからない…… そこまで考えて、まりさの恐怖は限界を超えた。 もうなんでもいいから、ここから逃げ出したい。おうちでゆっくりしたい。 「ゆひっ! ゆひぃっ! おうち! おうちかえる!」 火事場の馬鹿力なのか、まりさはゆっくりとは思えないほど高く跳躍し、 先ほどは何度飛んでもぎりぎり届かなかった落とし穴の外に着地する。 そして、その勢いのまま脱兎のごとく逃げ出した。 だが悲しいかな、ゆっくりの移動速度はその名の通り本当にゆっくりしているのだ。 まりさは全速力で逃げているつもりでも、子供達からすればその速さは、 お爺さんのジョギング程度のスピードだった。 「逃がすかよ」 少年は足元の石を拾い、野球選手のようにワインドアップで構えると、 オーバースローで必死に逃げるまりさの後頭部に投げつける。 グシャア! 「ゆぎぃっ!?」 球審も文句なしの、見事なストライクである。強烈な衝撃を受けて地面に倒れこむまりさ。 砂利で柔らかい頬がズタズタになるが、気絶してしまったのか叫び声をあげない。 投石が炸裂した後頭部にはパックリとした裂傷ができ、そこから漏れ出した餡子が綺麗な金髪の隙間からはみ出ている。 「あっ!? もぉ! やりすぎだよ! 死んじゃったんじゃないの?」 地面に突っ伏したままビクビクと痙攣を繰り返しているまりさを見て、少女が狼狽する。 せっかく手に入れたオモチャが、簡単に壊れてはつまらないからだろう。 「大丈夫だって。こいつら脆くて痛みに弱いけど、簡単には死なないから」 少年はまりさの髪を乱暴に掴むと、落とし穴に向かって放り投げる。 まりさ決死の脱出劇は、わずか一分で幕を閉じた。 「ゆべぇっ!? い……いだいぃ……」 穴の底に転落した衝撃で、まりさは意識を取り戻したようだ。 なんともいいかげんな意識である。 「ゆ……う……ぅ……あれ……まりさ……おそとにでたのに……」 「まりさ……だいじょうぶ? あたまから、あんこがでてるよ」 しばらく叩かれなかった事で少しだけ元気になったれいむが、 まりさの後頭部の傷を優しく舐める。 「れいむぅ……いだい……あだまがいだいよぉ……」 「まりさ……かわいそう……かわいそう……」 このれいむ、自分を置いて逃げようとしたまりさの事を少しも恨んでないらしい。 自身も深く傷ついているのに、慈愛の表情を浮かべてまりさを介抱する姿は実に感動的だった。 子供達にほんの少しでも良心があったなら、『こんな優しい生き物に、なんて酷い事をしてしまったんだろう!』 と言って改心しただろうが、残念な事にこの子達の辞書には『良心』の二文字は無かった。 「いいなあ、こいつら。こんな良いゆっくりは久しぶりだ」 「本当だよね。前に虐めた子達なんて、すぐに仲間割れしてガッカリだったもんね」 恐ろしい事に、この子達がゆっくりを虐待する理由は、 子供独特の純粋さから来る残忍性ではなく、ドス黒いまでの純然たる悪意だった。 れいむとまりさが、情の深い姿を見せれば見せるほど、二人の嗜虐欲求は高まっていく。 見た目はごく普通の可愛らしい十歳の子供だが、中身は悪魔そのものだった。 小さな悪魔達は天使のように優しく微笑むと、れいむとまりさを見下ろして恐ろしい事を言う。 「それじゃ、まりさの歯でも抜くか」 「あ、それいいね。基本的な拷問だけど、たっぷり叫び声が聞けるから楽しいよね」 歯を、抜く―― 知能の低いゆっくりでも、それがどれほど恐ろしい事かはすぐに分かる。 ついさっき頭に受けた衝撃で、いまだに朦朧としていたまりさの意識が一瞬で覚醒する。 「い゙や゙だぁぁぁあ゙あ゙あ゙!! ゆ゙っぐり゙じだい゙い゙い゙い゙!!!!」 涙や脂汗を振りまきながら、半狂乱になって落とし穴から脱出しようとするまりさ。 だが、手負いの体では先程のような大ジャンプは出来ず、あっさりと少年に捕まった。 「い゙や゙だぁあ゙! い゙や゙だぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙!! はなじでぇぇぇえ゙え゙え゙!!!」 渾身の力を振り絞り、少年の虜から逃れようとするまりさ。 彼の腕の中で悶え暴れるまりさの頭を、少女がそっと撫でる。 「ゆ……ゆぅ?」 その手つきは本当に優しく、穏やかなものだったので、 『もしかしたら、意地悪を止めてくれるのかな?』とまりさは思った。 だが、それはまりさの体内に詰まっている餡子よりも甘い考えだった。 「ゆっくりしてていいよ。こっちで勝手に歯を抜いてくから」 少女は愛らしい笑みをのぞかせると、 まりさの口に手を突っ込み、二本の前歯を親指と人差し指でつまんだ。 そして、「えいっ」と言う掛け声と共に、手を引き抜く。 ズボォッ 耳を澄ましていても聞こえないような、小さな小さな音がまりさの口内に発生した。 次の瞬間、スイッチプラグを引かれた防犯ブザーのように、まりさが振動しながら絶叫する。 「い゙ぎゃあ゙ぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」 あるべき物が無くなった間抜けな歯茎の穴から、クジラの潮吹きそっくりにビュビュっと飛び出す餡子。 少女は自分の手の中にある小さな二つの歯を、穴の中のれいむの前に投げ込む。 カラカラという乾いた音をたてて転がる白い物体。それを見たれいむの顔は、白蝋のように青ざめた。 「まりさ!? まりさぁ!? だいじょうぶ!?」 「い゙ぎゅあ゙ぁゔあ゙あ゙!! れ゙い゙む゙ぅぅゔ!! だずげでぇえ゙え゙!!」 穴の中にいるれいむには、まりさの様子は見えない。 だが凄まじい慟哭と、目前の歯を見た事により、まりさがとてつもなく惨い拷問を受けている事を理解した。 と言っても、それでまりさを助けられる訳ではない。ゆっくりの脆弱な力では、決してこの状況は変えられない。 だから、自分達以外の誰かに助けを求めるしかない。しかし、誰に助けを求めれば良いのだろう。 そんな事を考えてオロオロしているうちに、まりさの歯はどんどん抜かれていく。 「ゆ゙ぶぅえ゙ぇぇぇえ゙え゙え゙え゙!! や゙めでえ゙!! や゙めでえ゙え゙え゙え゙え゙え゙!!」 穏やかで暖かい春の空気を、まりさの絶叫が音波となって振るわせる。 発声している者が、死ぬほどの苦痛を受けている事が容易に想像できる悲鳴。 気の弱いゆっくりがこれを聞いたなら、それだけで気絶してしまうだろう。 「ふふっ。こんなに良い声で泣いてくれると、こっちもやりがいがあるよ」 ニッコリ微笑んでまりさの歯をねじり抜く少女。 歯にくっついていた神経がブチブチと不快な音を立ててちぎれる。 「ゔぎぐい゙がぎゃあ゙ぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」 今までどれだけのゆっくりの歯を抜いてきたのだろうか、 少女の手際は驚くほど鮮やかなものだった。将来は歯科医を目指すと良いかもしれない。 ものの三分もしないうちに、まりさは入れ歯をなくしたお婆ちゃんそっくりになった。 少年は、まりさの歯が全て無くなったのを確認して、落とし穴の底に叩きつける。 「ゆ゙びゅえ゙っ!」 地面と派手にキスするまりさ。もし歯があったら、今の衝撃で何本も折れてしまった事だろう。 それを思えば、歯がなくなった事もあながち悪い事ではないかもしれない。 まりさは緩慢な動作で体を起こすと、れいむに泣きついた。 「ゆひゅぅ……ゆひゅぅ……ふぇいみゅ……いひゃい……いひゃいよぉ……」 その顔を見て驚いたのはれいむである。 歯の無いゆっくりの顔が、これほど間抜けなものだとは思ってもみなかったのだろう れいむは哀れな姿に成り果てたパートナーの側で、彫像のように固まってしまった。 それから、ふるふると力なく振るえ、隻眼となった左目から一滴の涙をこぼした。 「まりさ! まりさぁ……! まりさのはがぁ……! これじゃ、ごはんがたべられないよぉ……!」 「ふぇいみゅ……ふぇいみゅぅ……かえりひゃい……おうちにかえりひゃいよぉ……」 傷ついた体を寄せ合って、お互いの身に起こった悲劇を嘆くれいむとまりさ。 それは、思わず涙を誘うような痛々しい姿だった。なんせ、この二匹は全く悪い事をしていないのだ。 他者に害を与える気持ちなど、露ほども無い純真無垢で心優しいゆっくり達。 そんな二匹が、理不尽な暴力でズタボロにされて、泣いているのだ。 この光景を見たなら、地獄の亡者達でさえも同情の涙を流すだろう。 「あははははははは! 見ろよ! 二匹とも泣いてるぞ! 可愛いな!」 「あははははははは! 本当に可愛いね! だから、ゆっくりって大好き!」 悲しみと恐怖に震える二匹を指差して、 コメディードラマでも見ているかのように爆笑する小さな悪魔達。 笑いすぎて涙目になりながら、次の虐待方法を相談し始める。 「はぁ~笑った笑った。さて、次はどうする?」 「そろそろ飽きてきたし、殺しちゃおうよ」 こ ろ し ちゃ お う よ たっぷりの悪意を含んだ苦い言葉が、 れいむとまりさの甘い餡子脳にゆっくりと浸透していく。 子供達から明確な殺意を向けられて、二匹は卒倒しそうになる。 「「ゆ、ゆっくりぃー!?」」 恐怖に駆られ、「ゆー! ゆー!」と喚きながら落とし穴を這い上がろうとするが、無駄な努力だった。 元気いっぱいの時でも出られなかったのに、現在の半死半生状態で脱出できるはずが無い。 もう……駄目だ。殺される。 二匹が絶望し、そう思った時だった。子供達の背後から、凛とした女性の声が響いたのである。 「お前達! 何やってるんだ!」 突然の大声に、肩をすくませながら振り返る少年と少女。 振り向いた先にたたずんでいる人物を見て、思わず「あっ!」と驚きの声をあげる。 二人の視線の先にいたのは、人里の寺子屋で子供達に教育を施している上白沢慧音だった。 「「け……慧音先生」」 少年と少女の顔がみるみる青ざめていく。その顔に浮かぶのは少しの恐怖と、大量の焦り。 先程までの悪魔の表情ではなく、先生に悪戯が見つかってうろたえる、ごく普通の子供の顔だった。 「悲鳴が聞こえたから来てみたら……これはいったい、どういう事なんだ?」 「「えっと……これは……あの……その……」」 さっきまでの威勢は何処へやら、借りてきた猫のように大人しくなる二人。 慧音は、落とし穴の中の哀れなれいむとまりさを見て眉をしかめる。 「こ、これは酷い……紅魔館の吸血鬼でも、ここまで惨い事はやらないぞ……」 自分達にとって救いの女神とは知らず、 子供達よりずっと大きな慧音を見て、ガタガタと震えだすれいむとまりさ。 そんな二匹に、沈痛な面持ちで「私の生徒が迷惑をかけた。すまない」と言った後、子供達に向き直る慧音。 「……お前達。何か言い訳はあるか?」 「「……ありません」」 「よし、潔い態度だ。さあ、こいつらに謝るんだ」 「「……はい」」 塩をかけられたナメクジのように萎んでしまう少年と少女。 それもそのはずである。この二人は、慧音の事が大好きなのだ。 ぶっきらぼうで厳しい所もあるが、優しくて美人の先生を、里の誰よりも尊敬していた。 そんな慧音先生に叱られるという事は、この世で最大の悲しみだった。 力の抜けた腕で、れいむとまりさを穴から出してやると、深々と頭を下げる。 「「……意地悪してごめんなさい」」 「「ゆ? ゆ?」」 暴虐の限りを尽くしていた二人に、突然謝られて困惑するれいむとまりさ。 歯がないので上手く話せないまりさに代わって、れいむが今最も気になる事を尋ねた。 「……もう、いじわるしない?」 「「うん、しないよ。だから、ゆっくりしてね」」 地面に向かって直角に頭を下げたまま、優しい声色で答える子供達。 ゆっくりにとって、一生に一度は言われたい台詞トップ5に入る、『ゆっくりしてね』を言われた事で、 れいむとまりさの心が歓喜の渦に満たされていく。酷い目に遭ったが、これでゆっくり出来る。 この子達ともゆっくり出来る。そう思った二匹は痛んだ体に鞭打って、元気良くジャンプして唱和する。 「「ありがとう! ゆっくりするね!」」 二匹の元気な声を聞いて、子供達はやっと顔を上げた。 れいむとまりさは、その時の二人の顔を一生忘れる事が出来ないだろう。 子供達の目には、先程の楽しそうな輝きは一切無かった。 そこにあるのは、憎悪と狂気に濁った真っ黒な瞳。 慧音に悟られぬよう、口だけは笑っていたが、少年の瞳と少女の瞳、 合計四つの黒い目玉から発せられる邪悪な視線が、れいむとまりさを突き刺していた。 『目は口ほどにものを言う』と諺にはある。 誰が考えたのかは知らないが、まったくもって名言である。 口先では神妙な事を言って謝っていたが、二人の瞳は、雄弁にこう語っていた。 『お前らのせいで、大好きな慧音先生に叱られた。殺してやる。どこに逃げても、絶対に見つけだして殺してやる』 はっきり言って逆恨みもいいところだが、悪魔には理屈など通じない。 血も凍るような冷たい瞳に、れいむとまりさは同時に絶叫した。 「「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!」」 素直に謝る子供達を見て喜んでいた慧音が、突然叫びだした二匹に驚く。 「ど、どうした!? 落ち着け、もう怖がらなくてもいいんだ。私からよく叱っておく」 れいむとまりさが何故叫んでいるのか分からず、オロオロしながら二匹をなだめる慧音。 芯の通った慧音の声には不思議な説得力があり、れいむとまりさも徐々に落ち着いていった。 ああ、そうだ。この女の人の言うとおりだ。もう怖がらなくていいんだ。 とにかく、悪夢は終わったのだ。世界は広い。この子供達とは、もう二度と会うことは無いだろう。 れいむとまりさはそう思った。その時は、そう思っていた。 続く 作:ちはる このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1363.html
幻想郷にその名を轟かせる魔城・・・紅魔館。 頂点に君臨するのは幼き紅い月・・・レミリア・スカーレット。 人々の恐怖と畏敬の象徴たる彼女には、しかし悩みがあった。 今日も悩みの張本人(人?)が館の荘厳さにそぐわぬ間抜け声をあげる。 「う”~さ”く”や”ぁ~さ”く”や”にい”い”つ”け”て”やどぅ~」 ゆっくりれみりゃである。 そのバランスの悪い肉まん頭を揺らし、愚鈍そのものの歩みで泣き叫んでいる。 どうやら蝶を追いかけていた最中に派手に転んだらしい。醜い顔が泥で更に醜くなっている。 今もゆっくりゃの追跡を受けている蝶は逃れようとひときわ高く飛び・・・・ 直後上からの銀光に粉々にされた。 地面に刺さったナイフを抜くのは、メイド長・十六夜咲夜。 「お呼びですか、お嬢様。」 「う”~さ”く”や”~~さ”く”や”~」 ゆっくりゃは咲夜に抱きつき、汚らしい顔面をスカートにこすりつける。 咲夜は嫌な顔一つせずかがみこみ、 「もう大丈夫ですよー、プリンがありますから帰りましょうね~。」 れみりゃを抱え上げ館に向かう。 「う~♪ぷでぃんがたべたいどぉ~うっう~♪」 プリンという単語にだけ反応したゆっくりゃは笑顔になり、咲夜の腕の中で珍妙な踊りを始めた。 本物の「お嬢様」は、窓からその光景を憎々しげに見下ろしていた。 「ねえパチュリー・・・・私は服装と髪型を変えるべきかしら?」 「馬鹿馬鹿しいわ。それこそアレにに迎合してるのと一緒よ。」 「わかっているけど・・・そう言いたくもなるわ・・・・。」 パチュリー・ノーレッジは、紅茶片手に当主をなだめる。 今は恒例の茶会だ。咲夜も二人の横に控えていたのだが、先ほどの奇声を聞いた瞬間窓の外だった。 能力の無駄使いだと思うレミリア。 「・・・これで紅茶がぬるかったりしたら、何か言いようがあるんだけどね。」 座って紅茶を口にしながらレミリアは言う。 「なまじパーフェクトなだけやりにくいわね・・・おかわり」 パチュリーの声と同時に、カップに紅茶を注ぐ咲夜の姿があった。神業だ。 無駄使いすぎる。 「ほらね。」 「・・・・・。」 無言の主人を前に、昨夜は瀟酒なたたずまいを崩さない。 紅魔館に多く生息するゆっくりゃは他のゆっくりと同様、いやそれ以上に忌み嫌われる存在だ。 しかし咲夜はそのゆっくりゃを溺愛している。 従者の頂点たる彼女がそうなのだから、他の妖精メイドや門番が邪険に扱うことは出来ない。 流石に市場などでゆっくりゃが野菜や陶器を荒らして回った時はかなり厳しく叱ったようだが・・・・。市場の人間は完全に萎縮してしまっていた。 そこに生まれるのは畏怖とは違う感情、忌避だ。このままでは自分、ひいては紅魔館の品位が疑われるというものだ。 れみりゃがあの容姿、自分に似た姿でなければ何も問題は無いのに、とレミリアは思った。 もしそうならいくら幻想郷中で忌み嫌われていようが殺されようが知ったことではないし、咲夜も熱を上げることはないだろう。 むしろ自分が命令せずとも殺人ドールで紅魔館から一掃してしまうはずだ。 「・・・・・。」 レミリアはベッド(天蓋付き豪華仕様)に寝そべり、夜の帳から顔をのぞかせる月を眺めていた。 ゆっくりゃ達―全部で7匹ほどいるらしい―は咲夜の部屋の隣の納屋で寝ているはずだ。 雲が月光を遮る。 「・・・・・・・・・。」 ゆっくりゃが現れるまで、あの鉄面皮で超然とした咲夜の楽しそうな顔を、レミリアは見たことがなかった。 その気になれば明日にでもみずから奴らを八つ裂きにしてもいい。咲夜に命令してやらせてもいい。 しかし、それは咲夜の、最も信頼する従者のささやかな楽しみを奪うこと。 「・・・・・・・・・ふぅ。」 当主の小さな溜息を聞くものはなし。 寝ていたゆっくりゃ達は咲夜の声で起こされた。 まだ夜が明ける時間でもなく、ゆっくりゃ達は眠い目で抗議しようとするが、咲夜の、 「別の部屋でゆっくりしましょうね。」 という一言で笑顔になり、たちまち「うー♪うー♪」の大合唱が始まる。 咲夜に連れられて階段を下りていった先にゆっくりゃ達が見たのは、全面が石造りで部屋の中央に排水溝がある殺風景な部屋だった。 ゆっくりゃのぷでぃん脳では思い至らないが・・・・まるで牢獄だ。 部屋の光景、咲夜が鉄製の扉を重々しく閉める音に戸惑い、「うー・・・」と不安そうな声をあげる肉まん達。 しかし、咲夜の次の一言で笑顔になる。 「みんなー、今からお遊戯をしましょう。」 「うー♪おゆーぎー♪」 「しゃくやーなにするのしゃくやー♪」 機嫌を良くしたゆっくりゃ達は咲夜の指示で円になって手をつなぎ、真ん中の一匹を囲むという配置になった。 丁度人間の遊戯で言うところの「かごめかごめ」のような形だ。 手をつないだゆっくりゃ達はニコニコ顔で騒ぎ、真ん中に至っては自分が主役だと考えたのか例のヒゲダンスを始めた。 「うっうー♪うあうあ♪」 「はーい、じゃあ始めましょうねー♪」 「「「うー♪」」」 銀光が閃く。 肉まん動体視力では期待すべくもないが、それは咲夜の手によるものだ。 ゆっくりゃ達は笑顔のまま。 真ん中のゆっくりゃが、ぐらり、とよろめく。 ぽたり、と音というがする。 真ん中のゆっくりゃの足下、排水溝に、 血でなく水でなく、肉汁が流れ落ちる。 漂う、肉まんの香り。 「あ・・・・・が・・・・さ”く”や”」 「「「や”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”っ”」」」 真ん中のゆっくりゃは苦悶の表情で、しかしその表情は奇妙に歪んでいる。 それもそのはず、その顔は三本の横線が入り、そこから肉汁を垂れ流しているのだから。 顔だけではない。胸、腰、足・・・腕以外の全てに横線が入っている。 咲夜は瞬時にゆっくりゃを輪切りにしたのだ。それも、すぐさま崩れないように神速で。 いまや肉まんでありながらハンバーガーのように各部位が重なっただけとなった真ん中ゆっくりゃ。 と、ぐらりと倒れ込みそうになる。 「ほら♪みんなで支えないと崩れちゃいますよ。」 「た”す”け”・・・・」 「「「う”うううぅぅぅぅっ”」」」 崩れ落ちそうになるゆっくりゃを、周りのゆっくりゃが慌てて真ん中の体を手で抑え、支える。 「どーじて!?どーじでごんな”ひどいごどす”るのおおおおおっ”!!」 「れみりゃのぷりちーながらだがあああああ”ー!!」 「みでないでだずげでよおおおぉぉっ”!」 涙と肉汁で顔をぐしゃぐしゃにした二匹が抗議する。 真ん中はもう声を出す余裕も無い。 「これはゲームです。しばらくみんなががんばれば傷が塞がって元通り。そしたらぷでぃん、素敵なぷでぃんの時間よ♪」 「いら”な”い”!ぷでぃんいらないがらだじけであげでええええ!!!さ”く”や”ー!!!!」 「そう?まあとにかく、ゆっくり支えていってね!!!」 咲夜はは満面の笑みをゆっくりゃ達に送る。それだけ。 ゆっくりゃ達の絶叫。 もう10分は立っただろうか。 最初は泣き叫んでいたゆっくりゃ達も、真ん中を支えることに専念している。 ゆっくりゃはゆっくりの中でも屈指の再生能力を持つ。 しかし、このように大規模な傷、しかも何カ所にも渡るものは最低でも20分はかかる。 さらに悪いことに・・・・咲夜が使ったナイフには少量の廃油が塗ってあり、それが再生を阻害していた。 従って、ゆっくりゃ達は更に長い苦行を強いられることになった。 「ぶ・・・ぶびゅるるる・・・・。」 支えているうち一匹のゆっくりゃが奇妙な呻き声をあげる。 ゆっくりは基本的に脆弱な存在だ。 補食種とはいえ、ゆっくりゃもその例外ではない。 更に日頃から甘やかされてるゆっくりゃ達には、例え10分でも同じ姿勢でものを支えるというのは地獄の責め苦であった。 と、先ほどから呻いているゆっくりゃの体が痙攣しだす。 「う”・・・う”・・・」 「う”ー!!ゆ”っくり”がんばっで!!さ”く”や”ーも”うだずげでえー!!」 他のゆっくりゃが激励する。 咲夜はただ笑顔で見ているだけ。 更に10分が経過した。 「う”・・・う”ーう”ー!!」 「!!!だいじょぶぅ!?」 今まで意識すらなかった真ん中がかすかに声を上げた。 傷が塞がりかけているのだ。 「う”う”ー!!なおっでね!ゆ”っぐりなおってね!!」 ゆっくりゃ達に光明が差す。 だが。 先ほどから呻いていたゆっくりゃが、ふと、力を抜いてしまった。 ぐらり。 「!!!!う”ー!!!」 周りのゆっくりゃは慌ててフォローに回る。 力を抜いていたゆっくりゃも踏ん張り直そうとした。 と、足下の、真ん中ゆっくりゃが流した肉汁に、足を滑らせた。 前のめりに倒れる。 ぐらり・・・・。 立て直せなかった。 周りのゆっくりゃ達を巻き込みながら、二匹のゆっくりゃは一匹が押し倒す形で床に叩き付けられた。 ぐじゃっ!! 「う”ごぶえ”・・・・」 ぶちまけられる真ん中ゆっくりゃ。 破片を破片を肉汁を肉汁をまき散らしながら。 「「「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!!!!」」」 白目を剥き、口を限界まで開いて絶叫するれみりゃ達。 友人の凄惨な死に様に、身を折って中身を吐き出すものもいる。 「ぷっ・・・・くくくくっ・・・。」 咲夜はあろう事か、耐えられないという風に顔をそらし、笑っている。 輪切りにされた顔の上半分が、恨めしそうに宙を見ている。 崩壊の張本人であるゆっくりゃは友人の臓腑に塗れて泣いていた。 「ぶえ”え”え”え”え”え”え”・・・う”っ!!」 と、周りのゆっくりゃ達に蹴飛ばされ、中身を吐き出す。 「お”ま”え”の”せ”い”だあ”あ”あああっ”」 「ゆ”っぐり”!ゆ”っぐり”し”ね”えぇぇ”ー!!」 「や”!!や”め”!でえぶぴぃっ!!」 エスカレートするリンチ。 「はいはいはい、ケンカは無しよー。」 ここでやっと咲夜が止めに入る。 リンチされ息も絶え絶えのゆっくりゃを助け起こし、肉片まみれの服を整えてやる。 制裁すべき相手が助けられたのは不満だが、ゆっくりゃ達は今度こそ咲夜が悪夢を終わらせてくれると思った。 ここまでのことを強いられながら、まだ咲夜に縋っている。 そうするしかない。 そうする以外に方法を知らないのだ。 咲夜は助けたゆっくりゃの背後から肩に手を置き、ゆっくりゃ達に話しかける。 「さて・・・みんなお疲れ様です。」 「う”ー!!さ”く”や”ー!!ゆ”っぐりざぜでえぇぇぇ・・・」 「はいはい。」 咲夜の言葉に、ゆっくりゃ達はわずかに安堵の表情を浮かべ・・・。 再び銀光。 ぐらり。 咲夜に助けられたゆっくりゃが、傾く。 「今度はこの子の番ね。」 7匹が6匹に、6匹が5匹に、5匹が4匹に・・・・。 部屋にはゆっくりゃたちの残骸が散らばり、排水溝に肉汁が流れ落ちる音が響いている。 遂に残ったのは3匹だけとなり、そのうち一匹もハンバーガー状態になっていた。 左右から支える2匹。 ここまでずっとゆっくりゃ達を支えてきたのだから、非力なゆっくりゃの中では体力があるらしい。 だが、彼らにとってそれは何の気休めにもならない。 相変わらずその様子を眺めている咲夜。 その手に持つナイフから肉汁を滴らせながら。 本人は心なしか頬を上気させ、うっとりと目を細めている。 支える2匹の姿は酷いの一言。 輪切り部分から滴る肉汁で手はふやけ、ところどころ皮が破けて中身が見え隠れしている。 1匹ぶちまけられる度に飛沫を浴びているため、桃色だった服はもう何色かわからない。 更に、咲夜から見て左のゆっくりゃは、涙と涎とその他諸々で表情がわからないような有様。 対して右のゆっくりゃは、下膨れの顔に今まで見たことも無いような不気味な薄ら笑いを貼付けていた。 何度目かの崩壊がやってきた。 左のゆっくりゃがぷるぷると震えだす。 「・・・や”・・・・」 その震えが他の二匹にも伝わる。 「う”ー!う”ー!!れみりゃじにだぐないー!!!」 喋れる状態にまで回復していた輪切りれみりゃが叫びだす。 しかし、もう遅い。 震えていたゆっくりゃは他の2匹を薙ぎ倒した。 「う”が・・・・」 濁った断末魔とともに肉まんスライスが残骸の山を新たに高くする。 立ち上がった右のゆっくりゃは無言。 左ゆっくりゃは更に床に寝転がると、最大級の駄々をこね始めた。 「う”ーもうやだざぐや”ー!!ざぐや”ー!!!じね!!み”んなぽい!ぽい!ぽいするのう”わ”ら”ばっ!!」 左ゆっくりゃは喋れなくなった。 右ゆっくりゃが仲間の残骸をその口に突っ込んでいた。 「むご!・・・う”!・・・う”ぢゅ!!」 更に残骸を掴んでは押し込む。 「が・・・・・が・・・・・」 限界まで開かれた口の中からは死んだ同胞達の目、耳、口だったものが覗いている。既に左ゆっくりゃの頭は1、5倍位まで膨らんでいた。 右ゆっくりゃは帽子・・・さっき死んだゆっくりゃの帽子を高々と振り上げると、 「ゆっくりしね!!!!!」 叩き込んだ。 左ゆっくりゃの頭は肉色の花を咲かせて破裂した。 ぱちぱちぱちぱち・・・・ 今や1匹となったゆっくりゃが目をやると、咲夜が感無量といった顔で拍手していた。 「すごいわ!!」 対するゆっくりゃは黙って肉片を掴んで口にいれ、汚らしく咀嚼し始める。 能天気さとはほど遠い、手負いの獣のような表情。 咲夜がかがみ込み、ゆっくりゃと目線を合わせる。 「あなたはこのゲームに勝ったの。これからはぷでぃんもあなただけのものよ。」 「・・・・。」 「これで一歩、あなたは近づいたのよ・・・紅魔館の主に。お・嬢・様♪」 窓から庭を見下ろしながら、レミリアは不可解だった。 あんなに醜く騒いでいたゆっくりゃ達の声がしなくなり、見かけるのも眼前で歩いているもの1匹だけになった。 更に、そいつの仕草もわからない。しっかりとした歩み。自分のお下がりの日傘の持ち方。 ゆっくりゃがこっちを見上げる。 阿呆丸出しの笑みでなく、口元を上げただけの笑み。 不本意ながらこいつは自分に似てきている、とレミリアは悟った。 しかしこれは好都合だ。このゆっくりゃなら市場でおやさいぽい♪とかぷでぃん!!!とか言わなさそうだ。 里の人間も紅魔館はあの馬鹿ゆっくりゃまで一味違う!と言ってくれそうだ。 一時はどうなることかと悩んだが、さすが咲夜、最高の従者だ。 これも彼女の教育の賜物なのだろう。 レミリアはこの上もない笑顔で控えているメイド長に振り返った。 〈fin〉 あとがき はじめまして。ゆっくりゃがこの上も無くうざいので書いてみました。 でも皆さんのようにあまり上手い虐めが出来なくて反省。 ラストもなんだかぐだぐだに・・・。 修行が足りません。 また気が向いたらお目汚しするかと思いますがよろしくお願いします。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/148.html
ゆっくりの因果 「むきゅ~っ、むきゅ~っ」 巣穴の奥から聞こえてくるゆっくりぱちゅりーの声。 歌うように声をあげながら、寝藁をしきりに均らしている。小さく跳ねる旅にゆれる艶やかな紫髪。 忙しなく動き回るこのぱちゅりーは、この種にしては珍しく顔色が通常のゆっくりに近く、動きも機敏だ。ぼろぼろの幼児向けの本に見向きもせず、寝床の藁をふかふかに敷き詰めている。 ぱちゅりーの顔は上気していた。疲れたのか、一端動きが止まると悩ましげなため息を吐き出す。よく見ればその表情は真っ赤。寝藁に身を沈めながら、しきりに巣穴の入り口に熱っぽい視線を向けていた。 それは、これから命をかけて交尾を試みようとしているぱちゅりの姿だった。 通常はその体の弱さから交尾と出産によって命を落とすぱちゅり種。ぱちゅりーもその運命は知ってはいたが、それでもなお愛しのまりさとともに子供を育み、自らの知識を直接教えていきたかった。 そのために、数ヶ月前から健康に気を配り、初交尾の準備を進めてきた。この巣穴一面に広げたふかふかで心地よい寝藁も、まりさを迎え入れるため精一杯集めた嫁入り道具のようなものだ。 今、その相手、まりさが戻ってくるのをひたすらに待っている。 通常の妊娠に至らない性交も体力温存のために控えていたぱちゅりと、理解してずっと我慢してくれたまりさ。久しぶりに愛し合うことに、ぱちゅりは興奮を隠せない。 「む、むきゅううう!」 何を想像しているのか、吐息をはきだしてその体をくねらせるぱちゅり。 もうすぐ、待ちかねた幸福の世界が始まる。 ぱちゅりーが夢想を想うがままに広げていると、幸福の使者はようやく入り口から顔をのぞかせた。 「むきゅ! ま、まりさーっ」 呼びかけると、まりさはにこにこ顔で巣に入り込んでくる。そのまま、ぴたりとぱちゅりの隣へ。 その精悍な顔を横目で見るぱちゅり。吹き上げてくる熱にかられるように口を開く。 「じゅっ、じゅんびはできてむきゅううう!」 言い終えるよりも早くのしかかられるぱちゅり。 十分に言葉を交わす前の行動に少しあわてるぱちゅりだが、元より待ちかねたこと。まりさも緊張しているのだと一人納得して、その動きに身を任せていた。 ぱちゅりーの巣に荒い息づかいと体を打ち付ける音が反響し、やがては淫靡な湿った音がこもっていく。 相手の体温にとろけてしまいそうなぱちゅりー。 「しあわせ~」 喘ぐように、そして夢見るように響くぱちゅりーの嬌声。 「ゆふっ、ゆふっ!」 ゆちゅりーの甘い声に、まりさはただ荒い息づかいを返すだけ。愛を囁いたりはしない。ただその動きをどんどん早めていく。 数ヶ月ぶりであるはずのぱちゅりの体温をじっくり味わうこともなく、ただひたすらに高みへ上り詰めようというその行動。 乱暴なほどにぱちゅりの体を貪っていく。 「ぎもちいいよおおお、そろそろすっきりしようねえええええ!」 「むきゅきゅきゅきゅ!? ま、まりさ、もうなのおおおおお?」 高みに一方的にのぼりつつあるまりさに、ぱちゅりの口をつく不満の声。言いながら、ぱちゅりはハシタナイことを口にしているに 気づいて、顔がますます真っ赤になっていく。 ぱちゅりーの理性はまりさの気遣いを推し量っていた。 まりさはぱちゅりーの体を心配して早くすませようとしているのだろうに、自分がそのおもいを否定してはいけない。 そんな優しさも大好き大好きだよ、まりさ。 小刻みになっていくまりさの蠢動を感じなから、ぱちゅりーはまりさとともにすっきりすべく、愛しいまりさに自らも体をこすりつけていく。 二匹は高みへ一直線。 「んほおおおおおおおおおお、いぐうううううううううう、すっきりー! ……はああん♪」 同時に声をはき出して、深く息をすいこむぱちゅりー。 命をこの瞬間、確かに授かってこぼていく喜びの涙。 するすると蔓がのびていくが、ぱちゅりの命はまだ輝いている。生き延びたんだ。子供たちといっしょにゆっくりできるんだ。 ぱちゅりの涙がとまらない。 これから、まりさと子供とともにどれだけの幸せの道を歩めるのだろう。 「むきゅう~ どっちに似た子供が多いかしら♪」 今はまりさと幸せを甘受しよう。満足の笑みで話しかけるぱちゅり。 一方、まりさはこちらに背を向けていた。口のあたりがもごもごと動いる。 「まりさ?」 呼びかけると振り向くまりさ。その口にはぱちゅりーが二人の生活のために集めた寝藁が、めいいいっぱいくわえこまれていた。 いぶかしむぱちゅりの視線に、まりさは口から一度わらを出してにっこりと説明する。 「子供ができるとここは狭いから、まりさが見つけた新居にもっていくね!」 「まりさ……」 まりさなりに自分との新しい家族との生活を考えていてくれた。 その優しさに再度暖かい涙がこぼれる。 実をつけつつある八つの膨らみ。確かにここでは狭かった。身重の自分が新居に行くためには無防備な自分を引っ張ってもらわねばならなかったが、その間まりさが守ってくれるなら大丈夫。 「ゆっくり引っ越しの支度をしてね!」 ぱちゅりーの声援を受け、黙々と作業を開始するまりさ。 半刻もしないうちにほとんどのねわらが運ばれていき、ふたりの愛液をすいこんだ恥ずかしい寝藁までが運ばれていく。 後に残されたのはがらんとした巣穴と、動けないぱちゅりー。 最後に自分が運ばれていくのを、今か今かと待ちかまえている。 「ぱちゅりー、待たせてごめんね! ゆっくりしすぎたよ!」 そこへ、朗らかなまりさの声。 入り口から慌ただしい足取りでまりさが転がり込んで、ぱちゅりーに幸せそうな笑顔を向け、そのまま凍り付いた。 「ぱ、ちゅ、り、い……?」 引きつった声で名前を呼びながら、その視線をぱちゅりーから伸びた蔓に視線を固定している。 「むきゅー、早くあたらしいおうちに案内してね!」 待ちくたびれたぱちゅりーが笑顔で促す。だが、まりさはぶるぶると震えだして応えようとしない。 ぱちゅりーへの愛情あふれる言葉の代わりに、かっと見開かれた敵意の視線。 「ぱちゅりー! 何で……なんで、にんっしんっしているのおおおおおおお!?」 わずかな困惑と、それをはるかに上回る怒りの声。 それを真正面から受けて、今度はぱちゅりが目を見開く番だった。 「むきゅうううう!? まりさがぱちゅりーをにんっしんっさせてくれたんだよ!」 あれだけ愛し合って実らせた命。二人の幸福の形。それなのに、当の本人は激情にまなじりをつり上げ、ぱちゅりーにくってかかろうとしていた。 「うそつかないで! まりさは一度もぱちゅりーと愛しあっていないよ! 誰と浮気したのか、言ってね!」 「む、むきゅうううううう!!!」 その真摯な怒りに、ぱちゅりは混乱した。だが、まりさの帽子がその視界に入ると同時に、ぱちゅりーの記憶がささやく。 そういえば、自分を守るときにツバが欠けたまりさの帽子。興奮状態で気づかなかったけど、さっきのまりさは欠けてなかったような…… 「む、むきゅうううううう! むきゅうううううううう!!!」 巣穴に響くぱちゅりーの絶叫。 「うるさいよ、何がむきゅうなの! まりさにずっとすっきりさせないで、自分は誰とすっきりしたのっ!!!」 まりさの怒声にはもはや涙声が混じっている。 ぱちゅりーを心から愛し、信用していた。ぱちゅりーとの約束を懸命に守って、数ヶ月を過ごしてきた。まりさの願望は、冬を越しながら子供と向きあってゆっくり育てること。何匹子供ができてもいいように、ひたすら食料を集めた。幸せな生活のため、どれだけの誘惑や危険を退けてきただろう。 その回答が、この不実。 「誰の子か、さっさと言ってね!」 「わ、わからないのおおおおおおおおお!!! むきゅーっ!」 ぱちゅりーは驚愕で視界がまっくらになる想いだった。頭の上で揺れる、幸せの果実だった我が子たち。 それが今、まりさへの裏切りの証拠として、ぱちゅりーの未来絵図を粉々に破壊しつつある。 「誰かもわからないの、このっいんらんぱちゅりー!」 「むきゅううううう! まりさ、それはひどいのおおおおおお!!」 「ほんとのことだよっ! ぱちゅりーが生きているってことは、ぱちゅりーもすっきりしたんでしょ! 誰とでも、相手がわかんなくてもすっきりできる子なんでしょ、ぱちゅりは!」 かわしきれない怒りの矛先に、ぱちゅりは苦痛に苛まれるようにぽろぽろと涙がこぼれる。 違うの、違うの、信じて。あなただと思ったの。それだけなの。 しかし、こみ上げる嗚咽に言葉にならない。嗚咽を堪えてむせるばかりで、ぱちゅりーから出るのは涙と咳のみだった。 その間にも、まりさは怒りに吹き上がる表情を、汚物を見るような覚めた眼差しにかえていく。 「もういいよ、ぱちゅりー。ゆっくりしていってね」 言い捨てて背を向ける。 ゆっくり遠ざかっていくその背中。 「まっでええええ! もうすぐ冬なのおおお、子供、どうすればいいのおおおおおお!」 背中を追ってくる悲痛なぱちゅりーの声に、まりさは振り向きもしなかった。 「まりさとは関係のない、いんらんとその子がどうなっても知らないよ。ゆっくり後悔してね!」 巣穴から出ていくまりさの足取りにためらいはなく、すぐに見えなくなっていく。 「まっでええええ、ちがうのおおおおおお! むきゅううううううううううううう!!!」 後にはいつまでも泣き叫ぶぱちゅりと、ゆっくりと健やかに育ていく子供たちが残されていた。 愛しいゆっくりまりさの消えた入り口から、一陣の木枯らしが吹き込んでくる。 冬は近い。 「ゆっしょ! ゆっしょ!」 広々とした巣穴に寝藁を敷き詰めていく一匹のゆっくりまりさがいた。 先ほどのぱちゅりーの住処に比べて、三倍ほどの広さだろうか。 それも、薄めに敷くことで人通りは寝藁に覆うことができた。 「すっきりさせた結果がこれだよ!」 得意満面で声をあげるまりさ。先ほど、ぱちゅりーを妊娠させて寝藁をとりあげたゆっくりまりさだった。 まりさ一匹には広すぎる我が家で、今はにこにこと戦果を眺めている。 それでも、まだ満足というまでは顔を緩めてはいない。 「あと、ゆっくりするにはご飯が必要だね!」 言うなり、巣穴を飛び出していくまりさだった。 「ゆっ、ゆっ、ゆう~♪」 ゆっくりれいむは、我が子の歌声を聞きながら目を細めていた。 四匹の娘が奏でる甘美な音階に不安はない。れいむは冬篭りの成功を確信していた。 れいむの背後には食料の山。入り口には完璧な偽装。仲睦まじい自慢の家族は、真冬であっても十分な温もりを与えてくれるだろう。 特に出入り口の偽装は母れいむの自信作。 人間の目線では藪にしか見えず、目線の低い獣では匂い一つこぼれていかない。 後は春先までゆっくりを楽しむだけ。 「ゆ~、ゆ~くり~ん♪」 母れいむも娘に応えて歌を口ずさんだその頃。 少しずつ、少しずつ、音をたてないように取り払われていく入り口の枯れ草。 「すごい、お母さん上手!」 「こう、もっとゆっくり歌ってね! ゆゆー、ゆっ~くりいいい♪」 持ち上げられ、脇に積み上げられていく石ころ。 一匹分だけかろうじて開いた穴に差し入れられていく、針金を使ったゆっくり用捕獲棒。 「こっちで練習してから、お母さんに聞かせてあげるね!」 部屋の奥で仲良く練習を始める娘たち。母ゆっくりれいむが娘たちの素直さに、母性あふれる微笑を浮かべたときだった。 針金の輪が、上から慎重に母れいむを囲み込む。 「ゆ?」 かろじて視界に入ったそれの疑問を口にしたとき、すでに輪は急速に収束しようとしていた。 「ゆううう……」 捕らわれる母まりさ。だが、力任せに締め付けるその抑圧に、声もあげられない。咽が潰されそうで、ひいひいと息がもれる。 「……!?」 何が起こっているのかわからないが、その苦痛に娘に声をかけようとするれいむ。 それも、すさまじい圧力に塞がれた。視界の先では、母親に見違えるほど上手くなった自分をみせたいのか、こちらから見えない物陰に隠れて歌に熱中する娘たち。 誰一人気づかれないまま、母れいむは静かに引きずり出されていく。 頬に感じる秋の風。防壁は粉砕されていた。なんでえええええと、叫びたいが声にならない。 そのまま、秋晴れの陽光の元ひ引きずりだされるれいむ。 そして、自らを囲んで見下ろす人間たちの姿に気がついた。 「よし、こいつは繁殖。もう少し育てれば、腹からいける」 年長の男が部下に言いつける言葉の意味はわからない。ただ、恐ろしさがふつふつとわいて、母れいむは涙がこぼれていく。 それでも、拘束された体はゆっくりの膂力ではどうしようもない。 部下が差し出した籠に詰め込まれる母まりさ。 上から、せんべいになれとばかりに凄まじい圧力がかけられ、籠一杯に広がる母れいむ。 弾け飛んで死ねれば楽なのにと思えるほど苦しい。 「奥には、ぱっと見いませんね」 「……ゆ~♪」 覗き込んだ人間の言葉を聞いて、息苦しさにもかかわらず笑みがこぼれる母れいむの顔。 娘たちだけでも、助かるかもしれない。 そんな希望の光は、陽気なほどの新たな声で再び闇に消えた。 「そんなわけないよ! れいむはここで娘を四匹産んだんだよ! ゆっくり奥を探してね!」 れいむの視界を闇に閉ざしたのは、人間たちの間を元気に駆け回るゆっくりまりさ。 あの、ぱちゅりーを妊娠させたまりさだった。 「まっまりざあああああああああああああ!!!」 れいむの絶叫で籠がびりびりとゆれる。だが、それだけ。母れいむはその裏切り者の忌々しい口を塞ぐことはできない。 「ち、違うよ! れいむはぴっちぴちのばーじんだよ! 子供なんていないよ!!!」 「よく探せ」 中の数が分かればもはやこそこそする必要はないとばかりに手短な年長の指示。 その言葉に、遠慮なく巣の壁を取り払い、身を中におどらせていく若い男。 「おにーさん、ふくが汚れるだけだよ! むだだからね!!」 真っ青な顔で、できる唯一の妨害にでるれいむ。 そうだね、でも仕事だから仕方ないねと、もぐっていく男の動きは止まらない。 れいむの顔はどんどん青く、顔は泣きそうなほどに歪んでいく。 「むだなことするなんて、ばかなの! だからやめてね! やめてねって、いってるでしょおおおおおおおお!!!」 「あ、いました。四匹確認!」 「ゆぐうううううううううううううううううううう!!!」 無慈悲な報告に、母れいむはとうとう断末魔の声。泡を吹き上げ、びくびくと震えている。自分の中に眠る母との幸せな生活。ようやく子供を得て、自分もそのゆっくりとした幸せを味わおうとしていた。それが今、命を次代につなぐという、母ゆっくりとしての意味すらなくなろうとしている。 次々と引き出され、周囲を見渡しているうちにどんどんしまわれていく娘たち。 「なんなのごれええええ!!! ぐべっ」 「ぐるじいよおおおおおお! びぎいい」 「なんとかして、おがあぢゃあああああん! ぎゅむううう!!!」 「れ、れいむが歌ってあげるから許してねええ! ゆーゆーゆっ、ぎゅべえええええ!!!」 口々にわめいていたが、籠に押し込まれて嗚咽とうめき声しか聞こえなくなる。 「こいつらはフライボール」 「なに、ぞれえええええ!」 年長の男が言い放った謎の単語に、濁った声で騒ぐ子れいむ。 「まず皮を全部剥いで、健康な薄皮がついたところで衣をつけて油で揚げる。油っこくならないように工夫を施した衣と油に、たっぷりのこしあん。砂糖はまぶす程度で、控えめの甘みが飽きさせない秘密だ」 律儀なのか、滔々と説明を加える男。一工程ごとに子れいむの震えが大きくなっていくのも気づかずに。 「みんな、残さず食べてくれる。君たちはまったく無駄にならないのだよ」 慰めにならないことを告げて、籠を背負いよっこらしょと立ち上がる。 その足元には、ゆっくりまりさがまとわりついていた。 「まりさがこのおうちをおじさんたちに教えてあげたんだよ! 子供の数も教えてあげたよ!」 ぴょんぴょんと、功を誇示して跳ね回る。 年長の男が顎をしゃくると、若い男が報酬の和菓子類を取り出す。 まりさは満面の顔で受け取っていた。 「まりざのうらぎりものおおおおおお」 「ひどいいいいいいいいい!」 「みんなにいっでやるうううううう!!!」 籠から響く呪詛の声にも、まりさの表情は陰ることはない。 「でも、みんなもう生きてお外にでられないよ! かわいそうだね!」 籠からの呪詛は止んだ。代わりに、狂おしいうめき声がこぼれていくる。 男たちが歩き出すと、その声も遠ざかっていき、後には得意そうにもらったお菓子とれいむが溜め込んだ食料を運び出すまりさの姿だけが残された。 「ゆー、まだ少し足りないね!」 巣の中でまりさは一人ごちる。 だが、奥に詰まれた満載の食料は一人で三度の冬を越えられそうなほど。 広々とした巣にたった一匹のまりさに不要なほどだが。 「もう一箇所、行くよ!」 言いながら、再び寒空の下に飛び出していく。 「ゆっくり待っててね! もうすぐだよ!」 秋風にそんな言葉をのせながら。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1986.html
初SS 俺設定使いまくり、いろいろな作品の設定使いまくり、ぬるいかも というか虐待成分薄め ゆっくりさくやと私 紅魔館の近くで見たことも無い銀髪のゆっくりを見つけた きっとこのゆっくりは紅魔館の瀟洒なメイド、我が愛しの十六夜咲夜さんを模したものなのだろう とはいえ、他のゆっくりのようにかなりデフォルトされているが… 我が愛しの咲夜さんを模したものなのだから、是非捕まえたい 「ゆ? ゆっくりしていってくださいませ!!!」 近づくと、ゆっくりらしい台詞 でも、若干警戒しているような雰囲気はある 「やあさくやさん 僕と一緒にゆっくりプレイスに行かないか?」 ゆっくりプレイスと言えば大体のゆっくりは馬鹿だからホイホイついてくる しかしゆさくやは違った 「ごめんなさいですわ! おぜうさまがまっておりますわ! ゆっくりかえりますわ!」 これは予想外 あっというまにどこかへ行ってしまった 普通に捕獲しようとしたが、ゆっくりのくせに早い… ゆっくりに逃げられたなんて他の人に言った日には… 考えたくも無い リベンジを近い、その日は家路についた 翌日、早速ゆさくやを捕獲する作戦を立てた 咲夜さんを模したものなら紅魔館関連のゆっくりを餌にすればいいのではないか? ということでゆっくりゃ、ゆふらん、ゆめーりん、ゆちゅりーを捕獲することにした ゆちゅりーとゆめーりんは見つけるのに苦労したが、捕獲するのは簡単だった ゆっくりふらんとゆっくりゃは体つきのが欲しい ということで紅魔館付近の森へ ゆっくりゃはぷっでぃんを持っていけばすぐ寄ってくる 「れみりゃにぷっでぃんよこすんだど~☆ れみりゃはこうまかんこおぜうさまなんだど~☆」 「にょこちゅんだど~☆」 いつ聞いてもウザイ 大小二匹の胴体付きゆっくりゃ… 親子で有ろうか? 殺意の波動を感じながらぶん殴って気絶させ二匹とも捕獲をした 最後はゆっくりふらんだ まずはおとりのゆっくりゃを串刺しにでもして待つことにしよう おもむろに子ゆっくりゃの頭を掴む そのまま近くの木の枝に背中から突き刺す 「うぎゃぁぁぁぁあ!!! なにしゅるんだどぉぉぉぉお!!!」 うるさいので取り合えず口を塞ぐ ついでに目玉も取っておくか(ちなみに、この目玉は昼食になりました) 「xxxxxxxx!!!」 まだ何か言っているようだが、気にせず待つ 2時間ほどして、ゆっくりふらんが寄ってきた 今回は準備万端 先ほど子ゆっくりゃの体に睡眠薬を何個か埋めてある(ちなみに今まで捕獲したゆっくりたちにも飲ませてあるので煩いのを気にしなくてもいいのだ!) ゆっくりにしては早めのゆふらんも睡眠薬で眠らせれば確実に捕獲できる 「ゆっくりしね! ゆっくりしね♪」 ゆふらんはゆっくりゃの手足をちぎり、それで子ゆっくりゃをぶん殴っている 早く食ってくれ とも思うが獲物をいたぶるのはゆふらんの習性なのだからしょうがない やっと睡眠薬入り部分を食べ、眠ったのは一時間後だった 捕獲したゆっくり達は加工所謹製、「ゆっくり強制的にゆっくりさせる袋」に放り込み、昨日ゆさくやに出合った場所に向かった 「ゆっくりしていってくださいませ!!!」 同じ場所にゆさくやは居た 探す手間が省けてよかった 前と同じように話しかける 「おにいさんとゆっくりプレイスに行かないか? おぜうさまやいもうとさまも一緒だよ?」 そう言って袋の中を見せる ゆっくりゃもふらんも睡眠薬で寝ているため、おとなしい 「おおおおおおおおぜうさまぁぁぁぁあ!!! いいいいいいもうとさまぁぁぁぁああ!!! かわいらしいねがおぉぉぉおお!!!」 そういうと自分で袋の中へ入って行った 袋に入ってすぐ睡眠薬注射で眠らせ、ゆっくり用部屋へ運び込む そこにゆさくやを放ってしばらくすると、目を覚ました もちろん他のゆっくりも一緒に放ってある ゆさくや「う~ん… ここはどこですわ?」 ゆちゅりー「むきゅーん… おにいさんにここにつれてこられたのよ…」 一足早く目覚めたゆちゅりーがゆさくやに話しかける ゆめーりんは皮の厚さゆえに喋るのがうまくないらしいので喋らないが、ゆさくやを見てなぜかうれしそうである れみりゃとふらんも目覚める 本来捕食種であるこの二種はゆめーりんやゆちゅりーを襲わないらしい とはいえ、れみりゃはゆふらんに高確率で虐め殺されるので若干警戒しておこう ということで、錘を体につけておいた れみりゃ「う~? ここはどこだど~?」 ゆふらん「う~? ゆっくりしね!!!」 いきなりゆふらんはゆっくりゃを攻撃した しかし、その攻撃はゆっくりゃへ届かなかった… ゆさくやがそれをとめたのだ ゆさくや「いもうとさま!!! おぜうさまとけんかはやめてくださいですわ!!!」 ゆふらん「うー! ゆっくりやめる!!!」 驚いた… さくやはゆふらんによるゆっくりゃの虐めを止めるのか… それもゆふらんも従ってる… その後はどのゆっくりも実にゆっくりしていた(時たま寝ているゆめーりんをゆさくやが邪魔していたが) 餌もしっかりやっているのでゆふらん、ゆっくりゃともにほかのゆっくりと遊んでいる そうしてゆさくや達の生活を見ているうちに面白いことがわかった そう、ゆっくりゃの大好物 ぷっでぃん をなぜ紅魔館以外のゆっくりゃが知っているかだ ゆっくりゃ「うー☆ れみりゃはぷっでぃんがたべたいんだど~☆ しゃくやはやくもってくるんだど~☆」 さくや「いまよういしますわ!」 そう言うと、ゆさくやは口からべちゃっと黄色いぷるんとした物体を吐き出した そう、アレはまさしく プリン ゆさくやの中身はプリンであった ダメージを負ったゆれいむやゆまりさはあんこを吐くが、どうやらゆさくやは自分で吐くことができるようである ゆさくや「どうぞおぜうさま! たべてくださいませ!!!」 そう言うとプリンをゆっくりゃに差し出すのだった プリンを吐き出したさくやは一回りちいさくなっていた ゆっくりゃ「おいしいど~☆ れみ☆りゃ☆う~☆」 汚く貪り食うゆっくりゃを見ながらゆさくやは幸せそうであった ちなみに、ゆふらんやゆちゅりーも時々ではあるが、一緒にプリンを食べていた ゆめーりんはじぶんからプリンを貰いに行くことはせず、それをじっと見ている だが、時々皆が見ていないときにゆさくや自らプリンを持っていっているようだ だが、ゆっくりゃのぷっでぃん脳は限度というものを知らない どんどんゆさくやは小さくなっていく ゆさくやが死んでしまう前にゆっくりゃだけを他の部屋に移した ゆっくりゃ「うー!!! なにするんだど~!!! れみりゃはこうまかんのおぜうさまだど~!!! えらいんだど~!!!」 と煩かったが、ぐっと怒りをこらえて運んだ 通称 ゆっくり虐め部屋 へ その後、ゆっくりゃは羽根をむしり、指から手足を5本づつに裂き、目玉に爆竹を突っ込み爆発させた 最後に無理やり体を引き伸ばし、まげて口と肛門を癒着させた 排泄される古い肉まんの餡がそのまま口に入る この古い餡はおいしくも無いが食えなくも無い しかしゆっくりゃは異常にこの古い餡を嫌うのだ 目が見えなくともなぜか判るらしい れみりゃ「xxxxxxxxxxxxx!!!」 何か言っているようだがこのまま放置しておくことにした 3日後、ゆっくりゃは死んでいたので生ゴミとして捨てました^^ 日がたち、私はゆさくやを繁殖させたくなってきた とりあえず、残ったゆさくや、ゆふらん、ゆちゅりー、ゆめーりんを振動させ発情させた上で見守ることにした 驚いた… なんとゆさくやとゆふらんとゆめーりんが3Pしているのだ 因みに、ゆふらん→ゆさくや→ゆめーりんと繋がっている ゆふらん「しゃくやあああああああああああああああ!!! かわいいよおおおおおおおおおお!!!」 ゆさくや「おぜうさまのぺにぺにすてきですわあああああああああああああああ!!! めーりんのまむまむもなかなかよおおおおおお!!」 ゆめーりんは喋らないが、なんとも嬉しそうである でも、この三匹は光景としては凄まじいものであった 「「「すっきりー!!!」」」 ちなみにゆちゅりーもゆふらんに襲われたが、すっきりまえに死んでしまった 南無 そうしてゆさくやはにんっしんっして、下膨れが大きくなっている めーりんは頭から茎を生やしている すでに三つほど子ゆっくりがなっている 生まれたのはゆめーりんからゆさくや一匹、ゆめーりん二匹であった ゆさくやからは子ゆさくやが生まれた ただしこちらは体つきとなっている からだつきゆっくりとの子供は体つきになる可能性があるのかも知れない 竹林の薬師さんに聞けばなにかわかるかも知れない その後、体つきゆさくや以外は売りに出したが、全匹紅魔館の門番が買っていった このゆっくりたちを見て(とくにゆさくや)興奮しているようであったが、何に使うかはまあ考えないようにしよう 体つきのゆさくやはどうしたかって? もちろん私の可愛いペット兼良きパートナー 夜も良い声で鳴くんですよ… 終わり ※あとがき なんとなく書いてみたけど、結構文章書くのはむつかしいなぁ 下種まりさとかを虐めるのとは違って、虐めにくかったので虐待分が限りなく薄くなってしまったのが残念 ほんとうはゆっくりゃ虐めをしっかりするか、下種系出して虐めようかとも思ったけどなんとなくやめておきました 文章:ヘタレお兄さん このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/123.html
発情期の野生のゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙を窓の無い白い4畳間ほどの部屋に閉じ込める そこが安全な場所であることを確認すると、やがて交尾を始める 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっゆっ!ゆ゙ーっ、ゆ゙ーっ!…」 白目を向き、歯を剥き出しに全身を強く痙攣させるゆっくり霊夢 次第にゆっくり霊夢は黒ずんで朽ち、頭から二本の蔓をのばしはじめる そして蔓から数個の子供達を実らせる 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 計5個の小さいゆっくり霊夢の赤ちゃん達 ゆっくり魔理沙も微笑みながら 「ゆっくりしていってね!」 と返事する ゆっくり魔理沙と一緒にその場でピョンピョン跳ね回るゆっくり霊夢の赤ちゃん達 夜にはみんなで大人のゆっくり魔理沙に寄り添いあって床につく、実にほほえましい光景である 「あしたもゆっくりしようね!」 「ゆっくりするね♪」 「ゆっくりするー♪」 翌日、起きた順に仲良く部屋の中を跳ね回るゆっくり達 「おはよう!きょうもゆっくりしていってね!」 「ゆっくり!ゆっくり!」 最後の1個が目を覚まし、みんなご機嫌だ しかし、部屋に閉じ込められてからというもの、食べ物が一つとして部屋に入れられて来ない 当然、部屋の中には蝶々もバッタも、それどころか水ひとつありはしない 遊び疲れておなかを空かせたゆっくり霊夢の赤ちゃん達もやがて騒がしくなってゆく 「ゆっくりできないよ!」 「おなかへったよ!」 「うー!うー!」 ゆっくり魔理沙もここに入れられてからずっとご飯を食べていない、ここには捕食できるものは何一つ無さそうだ 鍵のかかったドアを押してみるが開く様子は無かった 「おにいさん!ここからだして!ゆっくりしたいよ!おうちかえして!」 外に開放するよう訴えるゆっくり魔理沙 外の世界の存在など知らないゆっくり霊夢の赤ちゃん達はそれを不思議そうに眺める 叫んだらさらにお腹が減ってしまった…、しぶしぶとドアの前から立ち去る すると、ゆっくり魔理沙の視界に一緒に部屋に入れられたゆっくり霊夢の亡骸がとびこんできた おそるおそると口に運ぶゆっくり魔理沙、数日前一緒に行動を共にしたそれは予想外に美味しいものであった ゆっくり魔理沙が黙々とそれを食べている姿を真似し、次々とそれに口をつけていく赤ちゃんゆっくり達 「すごい!ゆっくりできるね!」 「あまあま♪」 ゆっくり霊夢の亡骸を平らげると、皆満足げに眠りに落ちていくのであった 翌日から、目を覚ましたゆっくり達はふたたび食糧難に悩むことになる 「おなかへったよ!」 「ゆっくりできないよ!」 しかし部屋には食べ物一つありはしない その状況が、1日、また1日と過ぎていく …そして4日間が経過した この間まで元気だったゆっくり霊夢の赤ちゃん達も静まり返ってしまっている 「おなか…へった…よ…」 「ひゅー…、ひゅー…」 育ち盛りの赤ちゃんが、生まれてから一度しか栄養を摂取せずにいたのだ、もはや餓死寸前の状況だ やがて、ゆっくり魔理沙の目に、もう意識の無いゆっくり霊夢の赤ちゃんが飛び込んでくる これだ これしかないのだ ゆっくり魔理沙はゆっくりと瀕死のゆっくり霊夢の赤ちゃんに近寄ると、頭から思い切りかぶりついた 「ゆ゙っ!ゆ゙!ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!」 痛みで意識を取り戻す瀕死の赤ちゃん 「や゙め゙でよ゙お゙っ!ゆ゙っ゙ぐり゙じよゔよ゙おっ!」 必死に抵抗するが、先ほどまで瀕死で動くこともできなかった身である、大人のゆっくり魔理沙と体力の差は歴然だ 「ハァ、ハァ…うめぇ!めっちゃうめぇ!…ッハァハァ…!」 がしゅがしゅと涎を垂らしながら品もなく食事を続行するゆっくり魔理沙 ゆっくり霊夢の赤ちゃんは全身を強く痙攣させながら 「や゙めでぇ…」 と、うわごとの様に繰り返し続けた 「…っ!!…っ!!」 他のゆっくり霊夢達は恐怖で動くことすらできずにいた ここに生まれてからずっと一緒にゆっくりしてきたゆっくり魔理沙が 自分達をまとめてくれていた、ゆっくり魔理沙が 自分の仲間を襲い始めたのだ 食ったのだ 「がしゅがしゅ…ハァ…ハァ…!うめぇ!がしゅがしゅ…ハァハァ!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の赤ちゃんを綺麗に食べ終わると、大きなゲップを残し眠りにつく 残されたゆっくり霊夢の赤ちゃん達は部屋の隅に身を寄せ合い、恐怖に震えながらその晩を過ごすのであった 翌日、ゆっくり魔理沙は朝、昼、晩、と1個ずつゆっくりの赤ちゃんを食べていった 必死に抵抗されたが、所詮は赤ちゃんである、食べる程度造作も無い こんなにお腹が膨れたのは何日ぶりだろう、ここなら外敵に襲われる心配もないし、気兼ね無く睡眠をとることができる 「ゆっ♪ゆっ♪」 ご機嫌そうにゆっくり霊夢の赤ちゃんに近寄ってくるゆっくり魔理沙、その顔はどこか艶めいている すると突然、ゆっくり魔理沙は、震える最後のゆっくり霊夢の赤ちゃんに頬ずりをはじめた 抵抗する余力も無いゆっくり霊夢の赤ちゃんはおびえながら身を震わせる 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっくり!!」 突然強く身体を押し付けるゆっくり魔理沙 「ゆーっ!ゆーっ!ゆーっ!」 「…!!??」 息を荒くしてゆっくりの赤ちゃんのしかかる 「ハァハァ!…ゆっくりしていってね!」 そう、食欲と睡眠欲を満たしたゆっくり魔理沙が生殖行為をはじめたのだ しかし、相手はまだ生まれて間もないゆっくり霊夢の幼生である 「…!?…や゙っ…や゙め゙っ…ゆ゙っぐっ…!」 懸命にもがき、言葉を口にしようとするが、密着した魔理沙の体が邪魔してうまく喋ることができない 「い゙や゙あ゙あ゙゙あ゙っ!!」 行為に耐えられず悲鳴をあげる最後の赤ちゃん その顔は、白目を剥いて、口の横から泡が溢れ出して痙攣している 「ングッ…ハァハァ…!…ハァハァッ!ッゆっくりしていってねっ!!」 ゆっくり魔理沙は声をあげると、途端にぶるぶると小刻みに身体を震わせはじめた 生殖の開始である 「んい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙っっ!!」 切なげな絶叫が部屋に響いていく… 行為が終了して数時間後、ゆっくり霊夢の赤ちゃんは黒く朽ちはて、その頭からは蔓がのび、数個の実をつけていた しかし、そのうち2個をのこして、他の実は全てドロ団子である そのドロ団子は小刻みに震え、口と思わしきところをパクパクとさせている そう、それは形状を完成させることができなかった奇形のゆっくりの子供達 まだ、ゆっくり霊夢が成長しきっていない体にもかかわらず、生殖行為を強要された結果である その状態では、恐らく生まれてから一日と持つことはないだろう やがてボトボトと蔓から子供達が落ちてくる 衝撃で2個の元気なゆっくり霊夢の赤ちゃんが目をさます 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくり魔理沙の挨拶に答える2個のゆっくり霊夢の赤ちゃん達 3個は笑顔でその場をピョンピョン跳ねる それはいつかのような、微笑ましい光景であった ~ゆっくり永久機関~ END
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2305.html
注意書き: 某4コママンガを参考にしています。詳細は文末に示します。 秋も深まり、山々はすっかり紅葉で覆われ、少し肌寒い風が吹き抜けていく。 そんな日々、市場で買い物を終え自宅へ向かう途中のこと、 獣道を歩く僕の前に一匹のゆっくりれいむが立ちはだかった。 高さ40cm余り、横幅は60cmにもなるかなり成長した個体のようだ。 この獣道、普段は殆ど人が通らない場所で、言ってみれば秘密の近道ってとこかな。 「ゆゆ!おにいさん?こっからさきはれいむのおうちだよ! とおるにはゆっくりつうこうりょうをはらっていってね!!!」 「通行料?具体的には何が欲しいのかな?」 「ゆ、ゆーん… れ、れいむにおいしいおはなさんをおいていってね!!!」 「なんだ…花か。ほれよ。」 「ゆゆゆ?むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 相手するのも面倒だったので、僕は買い物袋の中からハーブをれいむに差し出すと、 足早に先へ進もうとした。なぜか右足が重い。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! こ、これだけじゃつうこうりょうがたりないよ!ゆっくりはらっていってね!!!」 なんと右足にれいむがしがみついて来たのだ。 ゆっくりにしては珍しい行動だったので再び問いかける。 「今度は何が欲しいと言うのかね?」 「ゆ!? ゆーん… ゆっくりあまあまのおさとうをちょうだいね!!!」 「なんだ…砂糖か。ほれよ。」 「ゆぐっ…! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「じゃあ僕は先に進むからね。」 僕は買い物袋から角砂糖とカリン糖を十数個差し出し、この場を後にしようとした。 再び右足に荷重がかかる。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! ま、まだつうこうりょうがたりないよ!!!ゆっくりはらっていってね!!!」 再び左足にれいむがしがみついて来た。 いくらゆっくりとは言え欲張りな行動である。 「今度は一体何が欲しいと言うのかな?」 「ゆゆ!? ゆーんゆーん… れいむにゆっくりはちみつさんをちょうだいね!!! もしはちみつさんがないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「蜂蜜か…。ほれよ。」 「ゆゆゆ!?どおじておにいさんはちみつさんなんかもってるの!!!」 「れいむがくれっていったんだろ?」 「ゆぐっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあわぜー!」 「今度こそ僕は先に進むからね。」 再び重くなる左足。何か他に理由があると言うのか…? 「ぞ、ぞごがらざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ま゙、まだまだづうごおりょおがたりないよ!!!ゆっぐじはらっでいっでね!!!」 「欲張りなれいむだね。今度は何が欲しいのかい?」 「ゆがっ・・!?ゆう・・・ゆーん・・・ れ、れいむにゆっくりあまあまなくりーむをちょうだいね!!! もしもっていないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「クリームか…。ほれよ。」 僕は買い物袋の中からコンデンスミルクを取り出すと、れいむの口に注ぎ込んでやった。 甘ければいい。細かいことはわからないだろう。 「ゆがっ!?どぼじでおに゙いざんぐぢーむなんがも゙っでるの!!!」 「れいむがちょうだいっていったんだろ?」 「ゆががっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあ゙わ゙ぜーー!!!」 とは言いつつも両目からぼろぼろと大粒の涙を流している。 気にせず先に進もうとすると 「だ、だべなんだがらね!!!ごのざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 再び右足にしがみつくれいむ。食べ物が目的じゃないとすると、 この先には相当大事なものでもあるのだろうか? 「こっち行かないとお兄さんは帰れないんだけどなぁ」 「ざ、ざぎにずずむならゆっぐじでいぶにづうごおりょおをはらっでいっでね!!!」 「でいぶのお遊びに付き合ってる暇なんか無いんだけどなぁ…。ゆっくりどいていってね!!!」 「ゆがっ!? でいぶにゆっぐじおでんじじゅーずをぢょおだいね!!! ないならゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 「お兄さんのおうちにはオレンジジュースがたくさんあるよ? 通してくれたらでいぶに分けてあげてもいいけど?」 「や、やっぱりだべだよ!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!! ごごがらはでいぶのおうぢだよ!!!ゆっぐじごっぢごな゙いでね!!!」 もう「でいぶ」に構うのも飽きたので、無視して歩みを進める。 すると前方の草むらの中、木の根元の穴から伸びるオレンジ色の塊が姿を現した。 ゆっくりの卵である。 握り拳よりやや小さいゼリー状の塊が蛇のように連なり、見えているだけでも数百は下らない。 巣の中で卵を産みつけていたが収まりきらず、外まではみ出した結果だと思われる。 形態は縦に長く昆虫の卵のようでもあり、長く長く連なる様子は蛙のそれを彷彿とさせる。 よく見ると内部に非常に小さいながらもゆっくりらしき顔が見て取れた。 「ははぁー…こういう訳だったのかぁ。」 「やべでね!ゆっぐじやべでね!!!でいぶのかわいいごどもにでをだざないでね!!!」 「ふーん…」 それだけ言うと僕は、卵の群れの一角に塩を振りかけ始めた。 浸透圧により見る見るうちに卵がしぼんでゆく。 「やべでえええええ!!!でいぶのおぢびぢゃんになにずるのおおおおおお!!! ゆっぐじやべでいっでね!!!ゆっぐじやべでえええええええ!!!」 れいむは卵の前に立ちはだかり、塩をこれ以上子供たちに浴びせまいと大きく口を広げた。 「ゆっぎゃあああ!!!でいぶのおめめがっ!いだいよ゙おおおおおおおおお!!! でいぶのおぐぢがぁああああああああ!!!ゆっぐじやべでえええええ!!!」 目や口などの粘膜に覆われる部位に塩がかかるたび、れいむは悲痛な叫びを上げた。 体が大きめなだけあってその叫びも一段と大きい。余計に敵を呼び寄せてもおかしくはない。 「ほーら、今度はこっちだ。おいしいお塩をあげるからねー♪」 オレンジ色のゼリーは塩と触れると直ちに縮みこげ茶色の塊へと変貌していくのだった。 「やべで、やべでよおおおおおお!!! でいぶのおぢびちゃんはおじおなんでいだないぼおおおおおお!!!」 れいむは満身創痍ながら卵の前で塩を受けとめようと必死にかけずり回る。 「でいぶのおぐぢが、おぐぢがゆっぐじでぎないよ゙おおぉぉおおおおおお!!! おにいざんはゆっぐじやべでね、ゆっぐじやべでいっでね!!!」 両目から滝のように涙を流しているが、それでも諦めようとしない。 ふと視界に蜂蜜色の物体が入り込んだ。 近寄ってみると息を荒げるゆっくりありすであった。面白いことを思いついたぞ…! 「ゆふー、ゆふー、れいむのこえがきこえるわ!!!どこなのお? ありずがずっぎりざぜであげるよおおおおおおおお!!!」 「やぁやぁとかいはのありすちゃん。」 「ゆゆ?とかいはのありすはいまいそがしーんだよぉ?おにいさんはてみじかによーをすませなさいよ?」 「そのれいむのとこにつれてってあげようとおもってさ。」 「ゆほっ!?べ、べつにありすはれいむのことなんてどおでもいいのよ? でもおにいさんがつれてってくれるっていうならのってあげてもいいわよ?」 ありすは顔を赤らめ涎を垂らしながら答える。その顔、本心がわかりやすく見て取れる。 僕ももちろんそのつもりだ。 ありすを抱きかかえれいむの元へ向かう。 「ゆっほおおおおおお!?れいむのかわいいたまごがたくさんあるわ!!! みてるだけですっきりしちゃうわあああああ!!!すっきりー♪」 ありすから放たれた乳白色の粘液に卵の一角が覆われていく。 「やべでええええ!!!すきなひとじゃないとあかちゃんのもとかけちゃだべえええええ!!!」 1) 「ありすのためにこんなにたくさんよういしてくれたのね!!! れいむってつんでれねえええええ!!!」 「だべえええええ!!!れいむのだいすきなまりさじゃないとだべええええ!!! ゆっぐじやべで!ゆっぐじやべでええええええ!」 「そのまりさってのは、こいつの事かな?」 「ゆがっ!?ま゙、ま゙、ま゙り゙ざぁあああああぁああああ!!!」 数十分前のことだ。市場を後にし藪森へ歩みを進めようとした頃―― 「こっからはまりさのてりとりーなんだぜ!!!おにいさんはゆっくりあっちへいけだぜ!!!」 「ここをとおらないとお兄さんおうちに帰れないんだけどなあ?」 目の前にこれまた60cmもあろうかという大きなゆっくりまりさが立ちはだかった。 無視して先へ進もうとすると… どかっ! 尻に鈍い痛みが走る。まりさの体当たりだ。 重さも相当なため思わずよろけてしまう。 「まりさのたいあたりなのぜ!これにこりたらゆっくりむこうへいけなのぜ!!!」 まりさは僕の前に回り込んで自慢げに語りだす。 「ほぉおお? むこうへ行かなかったらどうするのかなぁ?」 「ゆがっ!?と、とにかくこっからはすすませないだぜええええええ!」 まりさが再び体当たりを仕掛けてくる。 一歩横によけてみる。ゆっくりにしては速いがかすりもしない。 案の定まりさの勢いは止まらず向こう側の木に突進し、盛大に全身を打ち付ける。 「おーい?いきてるかー?」 まりさは白目を向き天を仰いでいる。もっとも枝葉に覆われ空を拝むことはできないのだが。 「あーあ、見事に伸びちまったなぁ。しゃーない、持って帰ってやるとするか。」 僕は背負っていた篭にまりさを放り込み、その場を後にした。 「ゆゆっ!?ここはどこなのぜ?」 「まりさ!?きがついたのね!!!みてみて!!!れいむね、いっぱいおちびちゃんうんだんだよおおおお!!!」 「れ、れいむううううう!!!よくがんばっただぜえええ!!!」 「でもこのありすとそのおにいさんがゆっくりできないんだよ!!!」 「ゆゆゆ!?ゆっくりできないおにいさんとありすはゆるさないのぜええええ!!!」 まりさは近くにいたありすに体当たりを仕掛ける。 発情ありすとはいえ体格差は歴然であり、放物線を描き地面に叩きつけられる。 「ああああっ!? まりさってとんだえすえむぷれいなんだからぁああああ!?」 程なくして気を失った。 「さっきはよくも、よくもおおおおおお!!!」 再びまりさが僕に突進を仕掛ける。僕は手近にあった太い枝を拾い上げると、 一歩左に下がり野球の打者の要領で勢いよく振りぬいた。 「ゆべっ!?ゆびぶべぼばびぶべぼゆびゃぁああぁああああ!!?」 まりさは壮大な断末魔を上げると、物言わぬ2つの餡子の塊と化した。 「どぼじでごんな゙ごどずる゙の゙おおぉぉおおお!!?」 「いや…、どぼじでって言われてもなぁ…。れいむ達から仕掛けてきたんだろ?僕はそれに応じただけだ。」 「でいぶのおぢびぢゃんがえじでええええええ!!!ばでぃざをがえじでよおおおおおおぉおおおお!!!」 「まだ卵なら全滅しちゃいないだろーよ」 「すきなひどにあがじゃんのもどかげでもらわないとうま゙でないよ゙おおおぉおおぉおお!!! ゆっぐじがえじで、ばでぃざをがえじで、でいぶのあがぢゃん、がえじでよぉおおおおぉおおおおお!!!」 「んなこと言われてもなぁ…。」 僕はただ家に帰りたかったがためにやっただけ。 道を邪魔をした挙句そんな剣幕で問い詰められても困るのだ。 とは言え絶望に打ちひしがれる「でいぶ」をすぐさま叩き潰すほどの気力が無いのも確かだ。 「んほっ!?なみだによだれにぐちょぐちょのれいむもかあいいのよぉおおおおお!!!」 「ゆがっ!?ゆっぐじごっぢにこないでね!ゆっぐじやべでね!!!」 ありすが気を取り戻した。すぐさまれいむに一直線。何という見上げた根性・・・。 塩攻めにされ、愛するまりさを失ったショックを受け、泣き疲れたれいむにもはや策は残されていなかった。 ありすの為すがままになるしかない。 「んっほおおぉおおおぉおおお!ぐっちょぐちょのれいむぎもぢいよおおおおおお!!! あらてのろおしょんなのねえええええええ!!!すっきりー♪」 「やべでぇええええぇええ!ずっぎじー!」 「めをそむけなくていいのよおおおおおおお!!!れいむったらつんでれね!!! すっきりー♪」 「ゆっぐじやべで、ゆっぐじやべでね!!!ずっぎじー!」 「れいむのろおしょん、れいむのろおしょんあまじょっぱくておいしいいいいいいいいいい!!! もっとちょおだい、もっとちょおだいねええええええええええ!!!」 「でいぶおいじぐないぼおおおおおお!!!」 「ひていしなくていいのよ?れいむったらつんでれなんだからああああ!!!すっきりー♪」 「やだぼおおお、やだぼおおおおおおおお!!!すっぎじー!」 「もっと、もっとありすにあいをちょおだいねええええええ!!!」 「ゆ・・・ゆぐ・・・」 「れいむ?ねちゃったのぉおお?とかいはのありすのてくがきもちよすぎたのねええええ! うぶなれいむもかぁいいよぉおおおおおおお!!!」 れいむは気絶か、腹上死でもしたのか、とにかく動かなくなった。 いずれにせよその額からは緑色の突起が数多く現れ始めており、運命は決まったも同然である。 「あら…?たまごがたくさんあるじゃなあああい! ありすのためによういしておいてくれたのねええええ!!!すっきりー♪ みてるだけですっきりしちゃったわ!!!すっきりー♪ れいむっておませさんなんだからああああああああ!!!すっきりー♪ ゆっほおおおおぉおおおおおおおお……」 この後どうなるかは想像に容易い。 夥しい数の卵をうちにありすは干からび、万が一子供が産まれたとしても誰が育てると言うのだろうか。 オレンジ色の卵達が徐々に乳白色のゼリーに覆われていくのを見届けた僕は、我が家への道を急いだ。 おしまい♪ Ref. 1)東方アクロバティカ ttp //flat-racing.sakura.ne.jp/oretoumi/hp/touhou44.jpg あとがき 昆虫型と名付けたのは、蛙のように外側が粘膜で覆われていないためです。 交尾してなくても卵生むの? 充分に成長し時期が来たら大量の卵を産みます。 それでいて本体は交尾するとにんっしんしてしまうという破天荒な設定です。 by まりさつむりの人 P. S. ケロちゃんが卵を産む4コママンガを参考にしました。引用元を書いていなくてすみません。 しかし、産卵ネタ初出のSSや設定関連は読んでいませんし、参考にもしていません。 ここまで叱られてしまうとなると、wikiの内容を全て把握した上 関連するSS等全て挙げないとならないのでしょうか。 このSSに感想を付ける